拾いもの。1 *

2011/03/08 15:49




土方と銀さんが屋根の上でなんたらした後の話。


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本当に冗談じゃない。

お妙のストーカーやっつけて屋根の修理してただけなのに 瞳孔開いた真選組のやつに肩をちょっと斬られて 痛くて腕があげられない。1週間くらいで治るだろうか。


「いだだだだっ」


万事屋の長椅子に座って溜息を吐く。

途端にバンッと大きな音がして、神楽の嬉しそうな声が聞こえた。

バタバタと音をたてて廊下を歩く神楽をみると、片手で誰かを引きずっていた。


「銀ちゃん銀ちゃーん!連れてきたヨ」

「はぁ?連れて来たってお前…何…?今度は人間拾ってきたの?!ダメだろ!だからあれだけ…」


あ、


「こいつは…」

「銀ちゃんこの前こいつに槍返さないといけない言ってたヨ。だから銀ちゃん怪我してるから取りに来させたネ」

「やりかえすってそっちの意味じゃねぇよ!!!取りに来させたって何!?明らかに気絶してるだろ!」

「道端で寝てた」

「はぁ?」


言われてみれば顔色が悪い。


全く本当に面倒なやつを連れて帰ってくれたもんだ。
この前の医療費を払わせるもなにも今はこいつが病人で うんともすんとも言わない。


「神楽、真選組のとこまで…」

「じゃ、ちょっと遊びに行って来るアル」

「は?!ちょっと待てよ!真選組のとこまでこいつを…」

「いってきますヨ〜」



聞いちゃいない。


片腕じゃぁこんな男運べるわけがない。


大きく溜息を吐いてどうしようか悩む。

床に無造作に横たわる男の首をじっと見つめた。


ズラも革命だなんだ言ってテロだなんだやってるが、こいつ一人殺すだけでも変わるんじゃないだろうか。




真選組。




ズラと一緒にいただけで刀を向けてきた。



何人の昔の仲間が真選組に、こいつに殺されたのだろうか。





こんな簡単に殺せそうな男に。





「何考えてやがる…」

「?起きてたんなら言えよ」

「殺気がした」

「うん。殺そうか考えてた」

「っ!」

「んな顔すんなよ。何考えてたか聞いてきたのはお前だろ?本気じゃねぇよ。ガキがいるんでね」

「の割に怖い顔してた」

「そーうかい」


熱に侵されたような状態でフラフラと立ち上がろうとするそいつ。

プライドのお高いこいつは帰るとでも言うのだろうか。


帰れ帰れ。そっちの方が助かる。


「てめぇは…っ…て…っ」

「何?」

「うっ、…」


あっ、と気付いたときにはもう遅い。


そいつは身体を痙攣させながら、その場にいろんなものを口から吐き出した。








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