「いーざーやーくーん?池袋には来んなっつったよなぁ?」
(嫌い)
「シズちゃん、俺、暇じゃないんだよねぇ。見逃してよ」
ナイフが光る
(大嫌い)
「その名前で呼ぶなっつったよなぁ?殺す、手前だけはぜってー殺す!」
自販機が飛ぶ
「シズちゃんの暴力は理屈が通じないから嫌いだよ」
(その化物みたいな力も、理屈の通らないところも、ナイフが刺さらないところも、池袋に来たら絶対探し出すところも、馬鹿なところも、化物なのに人間に生まれてきたところも)
「全部大嫌い。嫌悪するよ」
宙を舞う標識
「避けんじゃねぇ!」
「俺はシズちゃんが人間に生まれてきた事を一生憎むよ」
(嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い…)
***
シズちゃんを初めて見た時の事ははっきり憶えている
その時抱いた始めての感情
嫌悪
身震いがした
俺が今まで定義してきたものが総て拒絶された気がした
(違う、これは人間じゃない。こんなのが人間な筈がない。こいつが人間だとしたら他の奴等は何になる。絶対に違う、違う違う違う違う…)
そこで俺は気付いた
いや、気付いてしまった
(あいつは人間じゃない、つまり殺せばいいんだ。なんだ簡単な事じゃないか)
「…はは、あははははっ!」
怪物に近寄る
「んだ手前」
「ねぇ、君さぁ」
「死んでよ」
END
俺得な作品でした
たまにはシズちゃんが嫌いな臨也もいい。
加筆:20110904.