哀しみ+涙=愛 | ナノ






・月六
・シリアス


悲しみ+涙=愛




「ねぇ、月…」
「お前何してんだよ!」
するりと首筋を動く刃物
「このまま切ったらさ」





楽になれるかな?


***


月は誰にでも優しい
俺にだって
月は俺の事が好きだって言ってるけどきっと色んな人にその言葉を言ってきたんだと思う
月は平気だと思うけど俺は平気じゃない
月が好きだって言うと俺は息ができなくかるし、月の声を聞くと胸が締め付けられる



苦しい、辛い、痛い…




臨也に聞いたらそれは恋だって言ったけどそれはないと思う
だって俺は感情が欠落しすぎた不完全なものだから


小さい頃、母親から愛情を貰わず代わりに暴力を受けた
父親からは社会の生き方を教わらずにセックスの仕方ばかり体にたたきこまれた
普通の人は同情してきたが俺には普通の事だからなんで同情するか理解できなかった

いつからか俺は感情を感じなくなった

何をしてもつまらない日々が続いて、毎日リスカして、でも明日は巡ってきて

どん底にいるときに月に出会った

月はただ1人俺に同情しなかった
月に出会って感情を少しずつ取り戻してきた


そしたらこの感情に出会った



どうしたらこの気持ちは消えるだろうか
どうしたら月の記憶から消えれるだろうか



そうだ、月の前で自殺をしようか




***


「月、ねぇ、よく見てて?俺、今から死ぬよ」
「止めろっていってんだろ!」
1歩近づいてくる

「それ以上は近づかないでね、そうじゃないと俺が死ぬよ?」

「ぐ…」

立ち止まる月
あぁ、なんて優しいんだろ

「俺が死んだら月の記憶から消してね」


-ヒュン-


「…、え?」
ナイフは空を切り俺は床に叩きつけられていた
「死ぬとか言うな!」
パンと音がしてその数秒後に俺の頬が痛くなる

「だ、だって月に迷惑かけたくなかったし」
「俺がいつお前の事迷惑だって言った!」
月は怒ってる
なんで怒ってるか分からない

「なんで怒ってるの?」
「当たり前だろ!俺がお前を見捨てるわけねぇだろが」
そう言ってから月は俺を抱き締める

暖かい




頬が暖かい


気付けば俺は泣いていた
「月…」
「俺はお前が好きなんだよ」
俺もって言いたかった
心から言いたかった


でも俺には心と呼べるものが無かった




「ごめん、月…。ごめんね」
涙が止まらない、止まらない


「謝らなくていいんだ。お前が責任感じなくていい」

違う
俺は責任なんて感じてない
ただ俺は月の気持ちに答えられなくて、悔しくて苦しくて…



誰か







誰か俺に愛を教えて下さい




END


少し以上に遅れました、相互記念です
月六シリアスでのリクエストでしたが、なんだか静臨のような…
そしてシリアス?
拙いですが真咲さんに捧げます!


加筆:20110904.