深淵の底に | ナノ




深淵の底に




紺碧の夜。それは形容し難い美しさ
少年は、迷い誘われ騙される
真実とは、自分の知らない事を知ること
少年の眼は深い哀しみに塗り潰される

***

(分かってた)

自分が愛されてない事くらい

(分かってた)

あの人は簡単に人を裏切る事を

「わかってた」
(そのくらい分かってた、でも)

「っ…、うあああ!!」

泣くしかない
無力な少年は泣くことしか出来ない
【惨め】
その言葉が深く突き刺さる
歩く、歩く
真実から1歩1歩逃げるように

紺碧の空、それは限りなく黒に近い青空
少年を誘うように空は泣く
少年は限りなく黒に近い闇に堕ちていく



END


加筆:20110904.