「あっちぃ」
俺は手で団扇を作り自分に生温い風を送る
「なんで高校なのにクーラーついてないんだよ…」
いつもきっちり制服を来ている新羅だって前をはだけさせ服をばさばさしている
「そんなに暑いならその席を変わればいいじゃないか」
新羅は俺の席を指差す
「いやだ」
その席は窓際の一番後ろに位置してる
***
「臨也起きなよ、もう昼だよ」
「ん…、あぁ、ありがと」
俺が受けていた筈の生物はもう既に終わっていて今は昼休みの真っ只中だった
「臨也、最近授業真面目に受けてるよね」
「そりゃ、学生の本分だからね」
ふぅん、と新羅
ばれてそうだ
俺の授業の出席理由が…
ばれてもどうって事無いが
廊下を出て歩いていると女子の噂話が耳につく
(ねぇ、知ってる? え、何々? 平和島静雄って あぁ、あのかっこいいけど喧嘩が強くて上級生に睨まれてる? そうそう、それでね…)
(折原くんってかっこいいよね)
俺の話だ
(えっ?あの折原臨也?止めときなよ〜、あの人平和島静雄と喧嘩したって死なないんだよ? それかっこいいじゃん あと、平和島静雄と付き合ってるとか…)
(えぇ〜、男同士とかまじキモい、幻滅した。教えてくれてありがとう)
(うんどういたしまして…)
ま、世間はこんなものだ
それに俺はシズちゃんと付き合ってない
付き合ってるくらいならこんな気持ちにならない
***
「あ、臨也おかえりー、遅かったね」
「ちょっと色々あって」
俺は席に座った
窓際、太陽の光が直に当たる
ただでさえ暑いのに更に体温が上がる
「あつー」
机にだらりと倒れるともうお決まりとも言える新羅の言葉
「いつも言ってるじゃないか。暑いならその席を変われ」
「いやだ」
新羅にそっぽを向く
「なんでそこまでここに執着するんだい?」
「それは…」
俺はここで初めて言葉を選んだ
「…冬になったら丁度いい温度になるから」
「冬には良さそうだね」
言い方から言える新羅の言葉
言い方から読んだのかそれ以上新羅は追及しなかった
ここから見える景色
黒板、居眠りしている奴、早弁している奴、手紙回ししている奴、そして真面目に授業を受けてるシズちゃんの後ろ姿
この景色が一番好きだ
誰にもばれず、誰にも悟られず斜め前のシズちゃんの後ろ姿が見れるから
俺はシズちゃんが好きだ
誰がなんと言おうとシズちゃんが好きだ
俺はシズちゃんに幸せになって欲しい
だから隠す
隠して騙して嘘を上塗りする
幸せそうな姿が見れればそれだけで十分だから
授業が終わるチャイムが鳴る
知らぬ間に50分は過ぎていった
こんな事を繰り返し俺は過ごす
今日も日差しが強い夏日
俺は一番後ろの窓際の席に座り、いつもの台詞を吐いた
「あっちぃ」
END
夏です。そうです、甘酸っぱい初恋です
とゆうことで来神です
ドタチンが出てきてないです
口調が分からないので…
加筆:20110904.