俺の家族は少し特殊だ
「ねぇ帝人くん」
「なんですか、臨也さん」
気だるそうに話すのは竜ヶ峰帝人
俺が通っていた高校の後輩だ
「今からどこかに行かないかい?」
「絶対に嫌です。それに今日は用事があるので、失礼します」
帝人くんはそそくさと帰っていった
(俺も帰るかな…)
これ以上ここにいても意味が無いので俺も帰ることにした
***
「ただいま」
「あ、おかえりなさい」
パタパタとスリッパの音と一緒に現れたのは先程まで一緒にいた帝人くんだ
「逢いたかったよ、帝人くん」
近寄ってきた帝人くんを抱きしめる
「さっきまで逢っていたじゃないですか」
「仕方ないじゃないか、外では俺達は」
他人なんだから
***
俺の親と帝人くんの親が結婚したのは帝人くんがまだ小さい頃だった
しかし、俺と帝人くんの苗字は違う
何故なら親達は事実婚をしたからだ
それでも俺達は兄弟だ
それに苗字が違う方が色々都合がいい
「み、帝人くん…こんなところで…」
「いいじゃないですか。外では他人なんだから」
ですよね?
帝人くんは意地悪く笑う
一歩外に出れば俺達が兄弟だと知っている人は居ない
他人に気付かれない恋
俺達は幸せだった
この恋が両親に見つかるまでは
「帝人くん!」
「さようなら、臨也さん」
帝人くんは自らこの家を出ていった
俺との関係がばれたのが一番の理由らしいがこの家で肩身が狭かったのもあった
「ふ…、く…」
ぽたっと白いシーツにシミを作る
「あーあ、俺ってこんなに弱かったんだな…」
帝人くんがいたシーツにくるまる
「…帝人くん」
そっと呟き俺は眠りについた
END
素敵企画サイト「
家族愛」様に提出しました
読みにくくてすみません…
加筆:20110904.