「静雄、甘いもん食べに行くべ」
「うっす」
午後、トムさんと俺は何時も通り仕事に勤しんでいた
「しっかしよ、池袋も平和になったな」
「…そうっすね」
トムさんは知っていた
「…、シズちゃん」
臨也がふらっと俺の前に現れた
「トムさん、」
「あぁ、後は俺がやっとくから」
「ありがとうございます」
トムさんに謝り、臨也を俺の家へ連れていく
「…、どうした。こんな所まで来るなんてよ、こっちに来るなら連絡くらいしろよ」
部屋に入った途端俺に抱きつく臨也
臨也は体温が低く、ひんやりしている
「シズちゃん」
「…、シズちゃん」
2度呟いた
「…、何だ?」
臨也を抱き寄せる
「シズちゃん…。…嫌い」
俺の胸に顔を埋める
「…、言ってる事とやってる事が逆だぞ」
「分かってる…。俺がシズちゃんの事が好きだって知ってる。シズちゃんが俺の事好きなのだって。でも…、」
「でも、なんだ?」
臨也は小刻みに震えている
「でも、ここでは、池袋では犬猿の仲で通ってるし、顔を合わせれば喧嘩ばっかりだし、俺達は危険人物な訳で。それに俺はシズちゃんが嫌いだから」
「…そうだな。だが、俺達は恋人同士だ。違うか?」
臨也の肩を優しく抱く
「…、違わない」
「それでいいじゃねぇか。他人の目なんか関係ねぇ。俺は臨也さえ居ればそれでいい」
臨也の首筋に顔を埋める
「ねぇ…、シズちゃん」
「ん、なんだ?」
「キスして」
ちゅ
「…ありがと、またね」
臨也の後ろ姿が小さく見えた
これはある恋人達のお話…
END