笑顔の返事 | ナノ






・来神


笑顔の返事




〜♪〜♪

『今すぐ外の橋のところに来い』
シズちゃんからメールが来た

「…」

それをみた瞬間固まってしまった
まさか来ると思っていなかった人物からメールが来ると人間はフリーズしてしまうらしい
事の発端は朝だった


***


「はい、集合」
必死過ぎて空回る先生の声が聴こえる
今日は、来神高校の合宿
本当は来たく無かったのだが新羅やドタチンが行くと言ったからついてきた

「これからくじ引きで2人ペアを作ってもらいます。これからの間自由行動はペアの人といるように」

ここの教師は頭大丈夫か?と思った
(ペアなのに自由行動って…。どんな矛盾の仕方だよ)
嫌々ながらも教師が持つくじを引く
(げ、6番…。不吉だな…)

「はい、1番から並んで」

全員くじを引き終わり順に並ぶように指示する

(次だ…)

並んだとき隣から声がした
聞き慣れた声だった

「なんで俺のペアがノミ蟲なんだ?」

見るとそこには顔がひきつっているシズちゃんがいた

「え…シズちゃんととか無理だし」

内心は…嬉しかった
俺はシズちゃんが好きだでもこの思いが叶うはずない
知っている
だから伝えない
絶対に


「はい、じゃあお互い携帯を持っているペアはアドレスを交換して、いつでも連絡が取れるようにして」

本当にこの学校は大丈夫か

「シズちゃん、携帯持ってるわけ「持ってる」な…、え?」

(シズちゃんが携帯を持ってるなんて…。俺の情報には無かった筈…)

自分の持っている情報と真実が食い違い戸惑ってしまった
「シズちゃん、いつから携帯持ってるの?」
俺は率直に聞く事にした
「あ?あぁ、これは昨日買ったばっかだ。それがどうした」
「いいや、何でも無いよ」

(昨日か…、それじゃ情報が無いのも納得だ)

「手前、また悪巧みしてんだろ。正直に吐け!」
シズちゃんは深読みしたらしく俺に突っ掛かってきた
「してないさ。取り敢えず、交換しようよ」
こうして俺はシズちゃんのアドレスを手に入れた


***


「こんな所に呼び出して、何?」
平然を装いながら向こうを向いているシズちゃんに語りかけた
「…、おう」
こっちを向いたシズちゃんの顔はどこか緊張していた

「用がないなら帰るよ?」

俺は一刻も早くこの場所を離れたかった
どんなに取り消しても深読みしてしまう…深読みせざるを得なくなる
ふぅっとシズちゃんはため息をついて言った


「手前…いや、臨也…好きだ」


心臓が止まる


(う…そだ。シズちゃんが俺の事好きだなんて…)
聞き間違いだと言い聞かせた

「手前がもし良かったら…、俺と付き合わねぇか?」

シズちゃんがとどめをさす


涙が溢れる


「!?、すまん…迷惑だよな。今の話は忘れてくれ」

シズちゃんは踵を返し帰る

「…待って」
袖を掴み止まらす

「返事…聞かないの?」

「え…」
シズちゃんの方をむきにこりと笑う


返事は勿論…



END


加筆:20110904.