否定の先に | ナノ






・マネージャー臨也×アイドル帝人


否定の先に




「お疲れさま、今日も良かったよ」
「はいっ、有り難うございます」

ステージから降りた僕にマネージャー…折原さんが僕に労いの言葉をかけてくれた

「今日はどこに行こうか?」
「今日は折原さ「もう仕事は終わったんだよ?」

「…臨也さんの家に行きたいです」

僕と臨也さんは所謂、恋人同士だ
だけど普段は気付かれないようにしている
何故なら僕は今やトップアイドル
普通の恋愛は勿論、マネージャーと恋愛は禁止だ

ましてや僕と臨也さんは、男同士だった


***


「すみません…、僕のせいで…」

「いいよ、帝人君のせいじゃないしさ。元々俺が、周りを見ていたら良かっただけだしね」

臨也さんが階段から落ちた
正しく言うなら僕の熱狂的なファンによって落とされた
「本当に、すみません」

自分では何も出来ない事が悔しくて、涙が流れる

「泣かないでよ。帝人君が泣いたら俺だって悲しいじゃないか」
臨也さんは僕のおでこに優しくキスをした
僕と一緒に居るだけで臨也さんは嫌がらせを受けている
それがもし恋人だっていうのがばれたら…
「僕が女の子だったら…。そしたら臨也さんだって辛い思いしなくて済むし、堂々と付き合えるし、結婚だってできるし、それに子供だって…

パン

乾いた音が響いた少し遅れて僕の頬がじんじんと痛む
その時始めて叩かれたんだと気付いた

「い、臨也さ「俺がいつ帝人君に辛いって言った?俺がいつ堂々と付き合いたいって言った?俺がいつ結婚したいって言った?俺がいつ帝人君との子供が欲しいって言った?俺は帝人君にそんな事言った覚えは無いよ!」


臨也さんは泣いていた
僕も泣いていた


「俺は、ただ帝人君が傍に居てくれるだけでいいんだ…。だから、自分を否定するような事は言わないでよ…」
「…っ、すみま、」

臨也さんは優しく抱きしめてくれた


アイドルの仕事は辛いものばかりだ
その中、僕が頑張っていけるのは臨也さんがいるから

臨也さんは僕の全てだ



END


加筆:20110904.