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奮闘、手料理戦(その1)


 生兵法は怪我の元。
 まして、それが未習熟分野であるなら、なおのこと……。

   ***

 一九九九年四月三日(土)。
 熊本全土で幻獣の侵攻が激化してから約一カ月が過ぎた。
 この日をあるを予測して熊本全土に配備されていた、九州生徒会連合所属の学兵約一〇〇〇〇〇名は、政府の開戦宣言を待たずして実戦配備を開始、大幅に短縮された訓練カリキュラムのせいで充分な練度を得られないままに、捨て駒として戦争という名の魔女の大釜に次々と放り込まれていった。
 尚敬高校に間借りする第六二高等戦車学校――五一二一小隊もその例外ではなく、機材受領の遅れから第一陣より約半月ほど遅れて戦闘に加入。基幹部隊に所属しない遊撃部隊として、次々と激戦区へと狩り出されていった。
 軍内の識者は、恐らく彼らは数戦もしないうちに部隊としての体裁すら残さないであろうと予測していたが、それはあっさりと覆された。
 確かに新編部隊にありがちな過誤や錯誤は無数にあったし、戦果もまあ、こんなものかという程度のものであったが、問題はそれを達成するのに必要とした労力である。
 現在のところまで、彼らはただの一人も人員を失う事なくこれを切り抜けたのだ。他の部隊の初陣損耗率が実に二五%に達するのとは全く対照的であった(しかも戦果なぞほとんど望めない)。
 だからといって、別に怯懦であるとかそういう訳ではない。一度など撤退戦のしんがりを務めている。
 人々は噂しあい、結論づけた。
 彼らは強いのだ、と。
 これを聞けば、小隊の面々は失笑を漏らしたに違いない。自分たちが強いのではなく、単に運がよかっただけなのだと知っているからだ。
 そして、彼らの中でも、あの二人がなければその運を拾うこともできなかったであろうことも。

   ***

 士魂号三番機、通常複座型のパイロットである速水と舞の二人は、連れだって学校からの帰途にあった。
 辺りはもう少しすれば夕闇の中に沈み込んでいくだろうという、茜色から藍色に徐々に移り変わるコントラストの中で、宵の明星とおぼしき星が早くも瞬き始めている。
 明日も良い天気になりそうだ。
 天候は幻獣の出現確率に大きく影響するから、これは彼らにとって喜ばしいことだった。
 いつもなら、こんな時こそ本腰をいれて徹夜も辞さない構えの整備をすべきなのだろうが、こんな時間に家路についているのには理由がある。
 一言で言えば、年がら年中そんなことばかりしていては、長いことは持たない、ということだ。
 部隊運営は凧を操るのに似ている。いつも糸を引っ張ったままではすぐに落っこちてしまうのだ。
 となれば、たまには糸を緩めることも肝心なのである。
 ちゃんと緩められるだけの根拠もある。今日が土曜日だというのもあるが、その他にももう一つ。
「今日は随分と整備もうまくいったよね」
「そうだな。そなたにも整備の要領というものがわかってきたということだろう。それに、今回はそなたの戦闘が少しは見られるものになったせいもあるな。技量が上がればある程度の損害減少が見込める。当たり前のことだが、それが如実に反映したというわけだ。もちろん、まだ精進が必要な所だらけであるのは変わりがないがな。あれだけ失敗を繰り返して全く成長せぬのであれば、単なる馬鹿でしかないぞ」
 舞の言葉はそっけなかった。速水の方を見ることすらしていない。
 だが、彼女が言ったことは事実の要約でもある。二人は一歩一歩ではあるが、着実な成長を遂げつつあった。
 もちろん彼らも新兵だから、実戦において数限り無い錯誤を犯してはいる。だが、まさに事前の遺伝子検査が証明しているかのごとく、絶妙と評してよいコンビネーションで互いを補佐しあい、戦果に結び付けたのである。
 たとえ、それの大半が戦術的思考というよりはその場の思いつきに近いものであったとしてもだ。
「……厳しいなあ。今日なんかは結構うまくいったと思ってるんだけど……」
 今日だけで速水は一〇体近くの幻獣を撃破している。これは同時期に活動している学兵部隊の中でもかなりの好成績だ。
 だが、その言葉は明らかに舞のカンに触ったらしい。速水は顔を青ざめさせたが既に手遅れで、彼女の眉はたちまちのうちに急角度に跳ね上がった。
「たわけ。あのぐらいの動きでうぬぼれるでない! 我らの目的を達成するために、やり過ぎて悪いということはないのだぞ、それを忘れたか!」
 舞は突然振り向いたかと思うと、ずずいと速水に詰め寄りながら、まるで機関銃のようにまくし立て――ようとして、ふいに自分たちが今までにないくらい接近しているのに気がつき、あわてて顔をそらした。
「そ、それは分かってるよ。僕は戦場で幻獣を三〇〇倒す。君は万民の平和のため、君の民のために彼らを守る、なんでしょ?」
 いささか勢いに気圧されながら速水が答える。頬がほんの少し熱い。
 たった今、触れあわんばかりに近づいた時の彼女の息遣いと香りの残滓が、脳内でリフレインを繰り返している。
「そ、そうだ。分かっているなら良いのだ」
 首を不自然すぎるぐらいにねじ曲げながら、舞が言った。向こうを向いてしまっているので、表情のほどは良く分からないが。
 しばらく、沈黙の時間が二人の間を通り過ぎた。
 やがて、いかなる理屈づけが彼女の中であったものか、舞はようやく再び顔を向けなおすと、いささか早口で言った。
「ま、まあ、なんだ……そうは言ったものの、今日のあの戦闘、最後に限ればそうだ、その、まあ認めてやらんでもない。なかなか見事だ、そう言うにはやぶさかではないぞ」
 速水は少しだけ目を見開いた。
 どうやら彼女はミノタウロスと対峙した時のことを言っているらしかった。あの時は、舞ですら探知できなかった位置から横合い目がけて突っ込んできたのを、速水が紙一重で拳をかわし、振り向きざまに動きの悪い複座型とは思えない速度で超硬度大太刀を叩きつけ、一撃で沈めたのだ。
 だが、そんなことより驚いたのは、彼女がそれに対して賛辞、そう言って言い過ぎならば、一定の評価らしきものを与えたという事実であった。
 少なくとも彼の覚えている限りで、戦闘に関して褒められるのはこれが初めてのはずだったからだ。
「本当?」
「……芝村は必要とあらば虚言も弄するが、少なくともここで使おうなどとは思わん」
 聞き返されたことで疑われたのかと思ったのか、舞はやや眉をひそめながら答えた。だが、瞬間わきあがった舞の疑念も、速水の次の言葉であっさりと吹き飛んでしまった。
「そんなことは考えてないよ。……あはっ、でも嬉しいな。だとしたら芝村、君のお陰だよ、ありがとう」
 そう言って速水はにっこりと微笑んだ。
 舞は知る由もないが、今の言葉はこれからまた彼女とともに歩める――そして彼女を守れることにつながっているのだ。嬉しくないわけがなかった。
「う、い、いや、礼などにはおよばん。これはそなたの功績だ、素直に誇るが良かろう」
 そう言うと舞は、顔を赤くしながらもほんの少しだけ笑顔を見せた。
 今度は速水の胸が不意に高鳴る。彼女と(パートナーとしてだが)付き合うようになってから、ごくたまに見せるようになった表情は、彼にとって特別な何かとなりつつある。
 全く「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」とは良く言ったものだ。
「ど、どうした? 馬鹿みたいに私の顔を見て、な、何か私の顔についているか?」
 いったん落ち着いて見えた舞が、再び声を上ずらせながら尋ねた。辺りは既に闇が忍び寄りつつあったから、顔が見えなくて幸いと思ったかどうかは定かではない。
「えっ? え、あ、い、いや、別に? ちょっと明日の整備のことをね」
 まさか笑顔に見ほれてました、などと馬鹿正直に言うわけにも行くまい。
「そ、そうか……」
 舞は呟くように言うと、つい、と目を逸らした。
「……」
「……」
 二人の間に、再びしばし沈黙が訪れた。

   ***

 二人がどことなく視線を逸らしあっている間も、歩みはゆっくりと、しかし着実に進められていた。だが、急ぐことは決してしない。
 ここ数日、速水は連れ立って帰るときには、必ず少しだけ遠回りをして帰るようになっていた。最初は怪訝な表情をし、時には時間の無駄とも言い切った舞だったが、最近は速水の歩むままに帰ることに、特に異を唱えようとはしなくなっていた。
 その多少増えた時間の中で、二人は戦闘の反省をし、整備の問題点を確認し合い、そしてほんの少しだけ取り留めのない話を交わす。少なくとも速水にとっては、二人で歩く時間の一秒一秒、交わされる言葉の一言一言の重みがどんどんと大きくなっていた。
 ――芝村にとっては、どうなんだろう?
 知りたくてもその方法がないのがもどかしい。
 いや、実際には簡単に分かるのかも知れなかったが、それを実践するのはまだためらわれた。
 ――もし、彼女にとってなんでもないのだったら……。
「は、速水」
 とある四つ辻まで来たところで、舞が唐突に振り向いた。思考を中断された速水は、いつの間にかうつむいていた頭を慌てて上げる。
「え、ど、どうしたの?」
「う、うむ。すまぬがここで失礼する」
「え? もう?」
 舞のアパートがあるどぶ川ぞいの道までは、まだ少しだけ距離がある。特に決めたわけでもなかったが、彼女の家の前で別れるのがなんとなく習慣になっていたのだ。
 それだけに、この言葉は少々唐突でもあった。
「う、うむ。用事を思い出したのだ、ではな」
「あ……」
 速水は思わず一歩踏み出したが、舞はそのまま速足でその場を立ち去った。
 後に取り残された彼としては、声をかけることもままならずに呆然とその後姿を見送るしかなかった。
「あ、行っちゃった……。僕、何か怒らせるようなことでもしたかな?」
 ――それとも、一緒にいるのは嫌なのかな。
 家路に向けて足を向ける速水の肩は、心なしか落ちていたという。

 しばらくの間、舞は速足を続けていたが、ようやく速水から見えなくなったとおぼしきあたりで足を緩めた。いつもならどうという距離でもないのに、呼吸がひどく乱れている。
「これしきのことでこんなに息が乱れるとは……まだ訓練が足りぬということか?」
 だが、彼女にはその原因がおぼろげにわかっていた。なにせ、たった今そこから(本人は認めないにせよ)逃げ出してきたのだから。
 正直なところを言えば、ミノタウロスとの戦いの動きは彼女にとっても驚きであった。普通なら素直に称賛の言葉をかけてやるところだ。
 だが、できなかった。舞の見るところ、彼はもっとできるはずだからだ。まだ満足してはいけない、そう感じていた。
 つまりは、彼女はそれだけ速水に期待しているということでもある。パートナーとして考えるなら、パイロットの腕は己の命と戦果に直結する。期待して当然とも言える。
 だが、それだけだろうか?
 ――違う。
 舞には分かっていた。自分が彼の成長を素直に喜んでいることを。そして、そんな彼が消え去ってしまうことに、自分が不安を感じていることを。
 それは、今までに感じたこともない、限りない切なさを伴う感情だった。
 ――全ては速水が、あ、あやつが悪いのだ。
 半ば八つ当たりに近いが、理由はある。
 最近は、そばにいたらいたで彼の一挙手一投足、言葉の端々に至るまで振り回されっぱなしだし、いなければいないで気になって仕方がない。
 さっきにしたところで、急接近した彼の瞳にまるで吸い込まれるような錯覚さえ覚えていた。触れられなどしたらどうなるか想像もつかず、それが足を速めた一因でもある。彼女は先程ほんの一瞬かかった彼の息の感触を忘れかねていた。
 最後に振り返ったときに、彼がぽつねんと立っているのを見たときなどは、いいようのない罪悪感が沸き起こるのを感じたほどだ。
「わ、私は一体何を考えている? い、いかん、酸素が、酸素が……」
 胸が、痛い。
 押さえてみても、その痛みは何も収まりはしなかった。
「これは、こ、これは、もしかして……」
 舞の思考が渦を巻きながらも、ある結論に向けて収束しようとした時。

 くううううぅ。

 腹の鳴る音が、薄暗い夜道にこだました。
 舞は、石像にでも化したかのようにびくともしない。と、音でも立てそうなほどギクシャクとしながら周囲を見回し、意味もなく制服の埃を払った。
「……ふっ、わ、私としたことが空腹のあまり何やらとりとめのない事を考えていたらしいな。いかんな、芝村たる者がこのようなことに気を取られては。……帰るか」
 どんなきっかけであったにせよ、再び行動するきっかけを与えられた舞は、先ほどよりもさらに早足でその場を立ち去るのであった。それが彼女にとって幸福であったかどうかは、本人にですら判別し難かったに違いない。

 ……あ、顔真っ赤。

   ***

 人間、どんな時においても腹は減るものだ。戦場においては、それは場合によっては生と死の境目にすらなる。
 現状においてはいささかオーバーな思考を巡らし、気持ちを通常モードに切り替えることに成功した舞だったが、再び家路をたどろうとしてその歩みをふと止めた。
「そう言えば、ストックが切れていたな……」
 しばしその場で沈思黙考した後、針路を少しだけ修正する。
 目標はスーパー。
 なんだと思うかもしれないが、最近では、普通に食料を売ってくれるところは貴重になりつつあった。
 このスーパーも戦時統制下であること、天然食物の自力供給が不可能になりつつあることなどから、合成や代用食品が多くなりつつなってはいたものの、未だそれなりの食品を(高価ではあったが)販売していた。
 入り口で身分証明書を見せた後、すぐ食べられそうなインスタントやレトルト、パック食品を置いてあるコーナーを中心に物色し、次々に買い物カゴにほうり込んで行く。
 彼女にしてみれば、食事は栄養が摂取できればいいのであってさほど形式にこだわらなかったし、調理に時間を割くなど考えられないことであった。ついでに言うなら、買い物の頻度だって少なければ少ないほど時間の節約である、そう考えていた。
 となればまあ、購入品の種類とその量が独身男性もかくやというラインナップになるのは、ある意味必然でもあった。
 かなりの分量をカゴにほうり込んだ時、舞は背後から自分を呼ぶ声を聞いた。
「まいちゃ〜ん!」
 振り返れば、そこにはののみが瀬戸口に手を引かれながらこちらにやってくるところだった。荷物の大半は瀬戸口が持っているので、彼女が手にしているのは子供用の小さなカゴだった。
「なんだ、ののみに、瀬戸口もか。こんなところで会うとは奇遇だな」
「うんっ! まいちゃんもおかいものですか?」
「う、うむ、そうだが。そなたたちもか?」
「うん、きょうはね、ののみがごはんつくってあげるの」
 ぴく、と舞の眉が動く。
「の、ののみよ。そなたが料理をするというのか?」
 舞の声はほんのちょっとだけ平板になっていた。
「最近ののみが料理に凝っちまってな。それが昂じて夕食を作ってくれるってことになったんだ。自信があるからやらせろってうるさくってな……と?」
 娘に初めてご飯を作ってもらう父親のような口調の瀬戸口だったが、その視線がひょい、と買い物籠の中を覗き込んだ。それに気がついた舞は慌ててそれを後ろに隠す。
「な、何だ? 何を覗き込んでいる?」
 ののみもしげしげとカゴを見たかと思うと、唐突に切り出してきた。
「ねえまいちゃん、まいちゃんのぶんもごはんつくってあげよーか?」
 九歳児に心配されるというのもいかがなものかと。
「あ、いや、その、それは……」
 しどろもどろになる舞を面白そうに見やりながら、瀬戸口がさとすような口調で、
「こらこらののみ? 姫さんの分は速水が作ってくれるから大丈夫さ。邪魔しちゃいけないよ?」と言った。
「ふえぇ、そうなの?」
 慌てたのは舞である。
「なっ! 何をいきなり言うのだ! そ、それになぜそこで速水が出てくる!? わ、私だって料理ぐらいできる!」
 ――さ、先程一緒に帰っていたのを見られたのか!?
 彼女にとっては、それは秘中の秘であるが、ンなこたぁとっくにばれているのは言を待たない。
 ともかく、せっかく収まった動悸が再び高まり、顔面に血液が集まって来るのを感じながら、それでも舞はその事実を必死に否定しようとした。
 その様子を不思議そうに見ながら、二人が口を開く。
『でも、その買い物カゴの中身……』
 ハモらないでもいいと思うのだが。
「い、いや、大丈夫だ。これは非常用でな。今から材料を仕入れて作ろうと思っていたところなのだ、ホ、ホントだぞ? ……瀬戸口、何を笑っておる!?」
「いやあ、別に?」
 口調こそ平静だったが、懸命に笑いをこらえているのは明らかだった。舞の顔が更に赤くなる。
「お、おお、もうこんな時間か。では、失礼するっ!!」
 そういうや、舞は手近な食材をかたぱっしから放り込んで、嵐のように会計を済ませると、怒涛のように立ち去っていった。
 後に残るは半ば呆然とした表情をした二人。
「ふええ〜、まいちゃんすごいいきおいなのよ……。でもまいちゃん、こまったこころがいっぱいだったのよ。だいじょーぶかなぁ?」
 心配そうなののみの頭を、瀬戸口は軽くくしゃくしゃと撫でてやった。
「ま、そのへんは何とかなるだろ……。さあののみ、俺たちも帰ろうか?」
「うんっ!」
 ののみの手を取りがてら、瀬戸口はふと舞の去っていった方向を見つめた。
 ――結構、可愛い所もあるじゃないか。だからあの坊やも気にかけたりするんだろうがな。
「ま、頑張れよ。坊や」
「? たかちゃん、どーしたの?」
「いや。何でもないさ。さ、行こう」
 ――馬に蹴られてなんとやら、にはなりたくないからな。

   ***

 おおむね同時刻、速水の部屋。
 台所からリズミカルな音が聞こえてくる。速水は手早く野菜の皮がを剥くと、次々に形よく裁断していく。
 先に用意してあった合成肉を鍋に入れると、軽く焦げ目がつくぐらいに炒め、更にたった今切った野菜を放り込んだ。
 食材たちは、正しく食されることを期待するかのように、鍋の中で楽しげに踊っていた。
 しばらく煮込んだ後味を調えて、一口味見をしてみる。
 速水は満足そうに頷いた。
「ん、いい出来。これなら芝村に気に入ってもらえるかな……?」
 よくよく鍋の中を見れば、彼一人の夕食にしてはやたらと分量が多かった。作り置きと言ってもいささか、と思われるほどである。
 さっきの今だから、はたして会ってもらえるかすらも定かではなかったが、それも行ってみなければ始まるまい。
 速水は火をとろ火にすると、後はじっくり待つことにした。ちょっと夕食と言うには遅すぎるが、彼女の顔をみたいという誘惑には抗しきれない。
「やっぱり迷惑かなあ? でも……」
 シチューが仕上がるまでの間、彼の憂悶はおさまることがなかった。
(つづく)


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