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火輪(終話)


 皆が着付けにかかりきりの頃、プレハブ校舎の外壁に怪しい影が二つへばりついていた。
 わざわざ階段の手すりから紐を伸ばし、ぶら下がるようにして教室を覗き込もうとしているのは、お察しのとおり滝川と中村である。壁にぶつかったときに余計な負荷をかけないよう、靴の裏にはスポンジをつけてある周到さだ。
 外から見ると、家庭内害虫が二匹張り付いているようにしか見えないが。
「お、おい、どうだ?」
 落ち着かない様子で滝川が言った。
「馬鹿、揺らすな! 気づかれたらどうすると?」
 そう言いながらも視線は目張りの弱いところを探し続けている。
 と、一ヶ所だけテープが剥がれかけており、目張りが内側に丸め込まれているのが見えた。
「あったばい!」
「え、おい、ちょっと俺にも見せろよ……」
 そう言いながら、滝川は何とか窓に近寄ろうとした。
 ――あ、あとちょっと……。
 もう少しで本懐を遂げられる。
 そう思った次の瞬間に、窓ががらりと勢いよく引き開けられた。
「!!」
 思わず石化する二人。そこには、原が決して好意的でない笑みを浮かべながら立っていた。そしてその後ろからは、既に着替えを終えたらしい女子全員が団体さんでお出迎え。
 皆、絶対零度ですらもう少し暖かいであろうと思わせるような視線だった。
「あ、あの、これは、そのう……」
「あら、どちらさまかしら? 今日は別に窓の掃除なんて頼んでないですけど?」
 原はそう言うと、にっこりと微笑んだ。と、どこからともなくカッターナイフが手の中に現れる。
「いや、その、ちょっと……」
「こぉの、馬鹿者どもっ!!」
 そう一喝すると、原は命綱をただ一閃で切り落とした。ドップラー効果付きの悲鳴を残し、二人は石のように落下する。
 彼女にしては、ずいぶんと慈悲深い。そう評すべきかも知れなかった。
 布袋が落ちたような音と共に地面にたたきつけられた二人は、ふらふらとしながらもどうにか立ち上がった。耳の中にまで埃が入っているような感じだった。
「あたたたた……ヒデェ目にあった……」
「へぇ、これで終わりだと思う?」
 思わず二人の背が引きつる。
 ――振り返りたくない。振り返れば何かが終わってしまう。
 そう知りつつも、まるで身体が何者かに操られているかのように、二人の首はゆっくりと回っていく。
 そして彼らが見たものは……。
 速水をはじめとして、二組に彼女がいた男子全員の黒い視線だった。
「滝川、中村君。ずいぶんと楽しそうなことしてるじゃない。何やっていたのか、僕たちにも教えてくれないかなあ?」
 凍りついた刃で貫かれるような寒気が二人の背に走る。速水の瞳には、墓石にも似た冷たさが宿っていた。
 ――マジだ。本気だ。き、危険が危ない……。
「そうだな、そいつを聞かせてくれるまで、ちょっとそこにいてもらおうか、ん? ――動くな」
 己の運命を悟りつつ、なおも逃走を計ろうとした二人の足を、瀬戸口の一言が止めた。
 理性によって止まったのではない。声に含まれた殺気に、身体が痺れて動けなくなってしまったのだ。
「さて、どのようにしたらいいですかね……」
 遠坂の声も、普段のどこか茫洋とした雰囲気とは似ても似つかない、鋼のようなものに変じていた。
「ま、待て……は、話せばわかるったい……」
 鉛のようになった舌をどうにか動かして喋る中村の前に、巨体がずいと立ちはだかった。蒼い瞳が冷たく見下ろしている。その横には怪しげにくねる物体が立っていたが、目には炎、手にはメスがあった。
「……お前を、殺す」
「フフフ、なぁに一瞬のことですよ。すぐ楽になりますから」
 その言葉が合図だったかのように、全員がずずいっと歩を進めた。
「よ、よせっ! やめろっ!!」
「わ、悪かったたい、もうせんからこのとおり……。うわああっ!!」
 それからしばらくの間、思わず耳を塞ぎたくなるような殴打音がプレハブ校舎裏に響き渡ったそうな。

   ***

 とまあ、そんな微笑ましい(?)やり取りはあったものの、夕日が間もなく落ちきるという時刻には、全員が無事「正装」に着替え終わっていた。
 皆慣れない服装のせいか、もじもじしたり、意味もなく裾を整えてみたりと忙しいが、特に彼女は……。
「わ、私はこのような動きにくい服装は好かん」
「そんな事いわないで、良くお似合いですよ」
 田辺はそう言いながら、襟足の辺りを直してやる。
「そ、そうか?」
 いかにもギクシャクとした動きをしながら、舞は少し硬い笑顔を返す。紺地の浴衣に朝顔がよく映えていた。
 髪型は普段と変わらぬポニーテールではあったが、襟足から覗く白いうなじと、そこに数本ほつれかかる後れ毛が、普段は感じさせない艶とでもいうものを醸し出しているのに、本人は全く気がついていない。
 後れ毛をかきあげるようにしながら、舞が言った。
「そなたが言うのなら、まあ、良かろう。それにしても、なぜわざわざ動きを制限されるように出来ているのだ、これは? 敵にでも襲撃されたときに大変ではないか」
 ……飛び出すセリフは極め付けに散文的だが。
「えーっと、そ、それは……」
 田辺としても、こればかりは返事を濁すしかなかった。
 ……いや、「敵」の種類によっては、的を射た意見である、と評価できなくもない……のだろうか?
 そんな女性陣を見ながら、瀬戸口は軽く微笑んだ。
「いやあ、やはり夏の風物詩ときたら、花火に浴衣姿の女の子、か……。実にいいねえ」
 そういう彼は浴衣ではなく着流し姿だ。どうやら自前らしいが、これがまた長身痩せ型の彼には妙に板についていた。昔の遊び人といった風情である。
 そのまんまではないか。
 その背後で感涙の涙を流しているのが若干名いたが、その一人は言わずと知れた滝川だった。
「そうっすねぇ……。うぅ、生きてて良かった」
 鼻の下を当社比一・五倍ぐらいにしながら女の子たちに視線を注いでいる。白地にバンバンジーがプリントアウトされたその浴衣が、彼の趣味を端的に表していた。
「……お前さん、さっき叩きのめされたのにまーだ懲りてないのか? もういっちょいくか、ん?」
 滝川の背中に冷や汗が流れる。先程の攻撃で最も容赦がなかったのが、意外にも瀬戸口だったのだ。
 ――師匠のパンチがあんな効くとは思わなかったよなぁ、ほんと、よく命があったもんだぜ……。
 そう言いながらもそれなりにまともに立っているし、視線は女子から離れない。
 ある意味、大したものではある。
 瀬戸口は深いため息をつくと、諭すように言った。
「あのな、そんなにじろじろ見てると嫌われるぞ? それから、これ、これ」
 既に半ば諦観の交じった口調で、瀬戸口は自分の口の下で人差し指を数回滑らせる。
「え? ……おっと」
 滝川は慌てて自分の口元をぬぐった。
「やれやれ……」
 ――だから、お前さんは彼女が出来ないんじゃないのか?
 不肖の弟子の姿に、瀬戸口は口には出さね、そっとため息を付いた。
「ま、仕方がないか……。ん、未央、大丈夫か?」
「は、はい。大丈夫です。心配してくださってありがとうございます」
 頬をうっすら染めながら、壬生屋が答える。普段から和装(?)のせいか、一番違和感がなかった。白地にあやめ柄の浴衣もよく似合っている。
 瀬戸口は、彼女がわずかに右足を引きずっているのを目にしたとき、わずかに眉をひそめたが、すぐに快活な声で言った。
「なに、気をつけないと、お前さんは結構どんくさいからな」
「まあっ!」
 たちまち頬を膨らます壬生屋を見て、瀬戸口は笑いを大きくした。
「冗談だって、そう怒りなさんな。……お、ののみもきれいに着られたな」
「えへへー、いいでしょ。みおちゃんにてつだってもらったのよ」
 小花を散らしたの浴衣を躍らせながら、ののみははしゃぐように言った。
「そうか、よかったな」
「うんっ」
「お前さんもご苦労だったな。……さ、行くぞ」
「はい、お供します」
 それを聞くと、瀬戸口は壬生屋の手をそっと取り、ゆっくりした速度で歩み始めた。反対側にはののみが嬉しそうに手をつないでいる。
 どこぞの親子連れと見まがうような、平和な風景だった。

   ***

 会場はすでにかなりの人手だったが、その中でも彼らは結構目立っていた。
 浴衣の、それも既製品の一団がはしゃぎながら通り過ぎていくのだから当然と言えば当然なのだが、行動にどことなく統一感が漂うことに気がついたせいかも知れなかった。
 それと気づいた人間が視線を向けてくるが、それは二種類に分けられた。すなわち、奇異な視線と理解のこもった視線と、である。理解の視線を向けた者にも似たような雰囲気を持つ者が多かった。
 そのような雰囲気をかもし出している集団は彼らばかりではなく、そこここに見受けられた。
 この催しの恩恵を当然受けるべき者たちの集団、そう呼んでもいいかもしれない。
 夜の帳が辺りを覆い隠し、西の空にわずかに茜色が残るようになった頃、遠くで始まりの合図である花火が上がり始めたのだが、この時ちょっと異様な光景が現れた。
「敵弾!」
 という叫びとともに、賑わう人ごみのあちこちでザッという音とともに凹みが出来たのだ。
 花火の炸裂音に、反射的に身をすくめてしまったようだ。
 五一二一の面々も、その場に伏せんばかりの勢いで身体を低くしていた。戦場において暴露面積を小さくすることは、何より生存確率の向上につながるのだ。
 ただし、ここは戦場ではないのであって……。
 手元に銃がないことにようやく気がつき、周囲の不思議そうな視線に、皆慌てて居住まいを正した。
「ま、まあ、なんだな。習い性とはいえ、因果なことだ」
 顔を多少赤らめながら、舞が立ち上がろうとすると、いきなり眼前に黒い影が立ちはだかった。
「!?」
 鋭い眼光と共に見上げれば、そこには舞をかばうかのように速水が立っていた。その視線はキメラのレーザーより鋭く、事実周囲は数メートルにわたって人の波が引いてしまっていた。
「厚志か、そんな顔をして何を突っ立って……おい、厚志?」
 文句を言おうとした舞をよそに、速水はクルリと向こうを向いてしまった。よく見れば耳の先まで赤くなっている。
「?」
 何事か分からずに立っていると、見かねた田辺が後ろからそっとささやいた。
「あ、あの芝村さん。裾はあまりはだけない方が……」
「え? ……あーっ!!」
 先程の動作で裾が見事に乱れ、白くしなやかな肢体が半ばももの辺りまで、闇の中にもはっきりと浮き上がって見えた。
 そりゃ、あんな動きをすれば無理もないのだが。
 舞は慌てて裾を直すと、足を抱え込むようにしゃがみこんでしまった。
「……白?」
 向こうを向いたまま速水がぼそりとつぶやいた一言で、時ならぬ血戦が勃発しそうになったのは全くの余談である。

   ***

 どうにか騒ぎの収まった一行が再び場所を占め始めたとき、最初の本格的な花火があがった。
 紅い大輪の花が夜空一杯に広がる。発射地点がだいぶ近いのか、ほとんど間をおかずにドンという音が、衝撃とともにやってきた。
 これほどの音になると、耳で聞くというよりは腹の底から揺さぶられるような感じを受ける。そう簡単に兵士としての習慣は抜けないのか、夜空に花が咲く度に肩がピクリピクリと震えるのは、こっけいを通り越して何か物悲しささえも感じられる。
 それでも、花火は美しかった。パッと光の筋を伸ばし、あっという間に散りゆきながら、否、それだからこそひときわ美しく輝いている。
 それは、今この時代の人々そのものでもあった。彼らはその光輪の中に何を思ったのか。
 寄り添って見る者もいる。皆に見えぬようにしてそっと涙を流す者もいた。
 そんな人間どもの思いも知らぬげに、花火は夜空に己の存在を刻印していった。
「ふええ、きれいだねえ」
「そうですね……孝之さん? どうしたんですか?」
「ん、いや、なんでもないさ」
 そういうと、瀬戸口はそっと壬生屋の肩に手をかけた。
 壬生屋はほんの少し目を見張ったが、瀬戸口を見てにっこりとほほ笑みを返す。
 そんな二人を、ののみはにこにことしながら見守っていた。彼女にとって、幸せな心が満ちあふれるのはとても心地よいことだった。

   ***
 
「舞、ねえ待ってったら、舞!」
「うるさいっ!」
 必死に追いすがる速水などには目もくれず、花火が次々と上がる中を、舞はまるで行軍でもしているかのような速度でずんずんと歩を進めていく。そのあまりの迫力に、人々が思わず道を空けるほどだった。
「全く、私は今己の軽率さを悔いているところだ。やはりこのような服装では満足に動くこともかなわぬではないか。そ、そ、そ、それにあのような失態を……」
 言っているうちに先ほどのことを思い出してきたのか、舞の顔が再び赤くなってくる。
「さっきのなら、多分僕以外は見てないと思うけど……」
「……!!」
 その言葉に、舞はぎりりっと眉を吊り上げると、いきなり速水を襟元を締め上げて揺さぶり始めた。
「そんなことを言う口はこの口か! 今すぐ忘れろ、直ちに消去だ! さもなくば私が物理的に初期化してやる!」
「ま、舞っ! そんなに頭を揺らしたら、頭のネジがどこかに飛んでっちゃうよ!」
「もう、充分に飛んでおるわ、このたわけが! ……?」
 激昂したままなおも叫ぼうとした舞は、鼻に水滴が当たったことで我に返った。
 空を見上げれば、先ほどまで星が瞬いていたのがどんよりと雲が垂れ込めている。
 水滴はなおも数と勢力を増しながらあたりに降り注ぎ、やがては轟々たる土砂降りに変化した。
「舞、こっち!」
 速水は舞の手を素早く取ると、手近の木の下へと逃げ込んだ。ここもいくらか雫は落ちてくるが、そのままいるよりはずっとマシである。
 花火もこの雨では打ち上げるわけにもいかないのかぱったり途切れ、他の連中はどこに行ったのか、影も形も見えなくなっていた。
 二人とも黙りこくった中、雨音だけが響いている。
 速水はハンカチを取り出すと、濡れているであろう舞を拭こうと隣を見て――手を止めた。
 遠くの街灯の明かりにぼんやりと浮かんだ舞の姿は、水滴が光を反射してまるで光をまとっているようだった。
 速水がしばしその美しさに見とれていると、視線に気がついた舞がこちらを振り向いた。
「ど、どうした? 私に何かついているか?」
「ん? いや、きれいだなあって思って」
「なっ!! ば、馬鹿者! そういったことは人前で言うなと……!」
「誰もいないから良いじゃない」
「そ、そういう問題ではないっ!」
 再び沈黙が訪れる。それから少しして、舞がささやくような声で言った。
「ほ、本当にそう思うのか?」
「うん」
「……そうか」
 舞はかすかに微笑んだ。速水も微笑みながら、舞についた雨粒を拭い取った。

   ***

「厚志よ」
 ようやく雨脚も弱り始めた頃、舞が再び口を開いた。
「ん、何?」
「私は考えていた。少し考えが甘くなっていたのではないかとな。考えてもみるがよい。我らはなんとか生き延びたが、多くの犠牲が出たのもまた事実だ。小隊の中でもまだ数人は通院を余儀なくされている者もいる。クローニングとて万能ではない」
 いったん言葉を切ると、舞は速水のほうを振り向いて続けた。その瞳には確かに意志の力が宿っていた。
「それでも、我らは前に進まねばならん。我らにはまだなすべきことがある。にもかかわらず、己の姿を見て、自分は浮かれているのではないかと思ってな……」
 ぽんと肩を叩かれて、舞ははっと目を上げた。そこには速水が目に優しい光をたたえて微笑んでいる。
「そんなことはないと思うよ。舞が人知れず頑張っているのは僕はよく知ってるつもりだけど、それだけじゃもたないよ。芝村とはいえ舞も人間なんだし、時には休息も重要なんじゃないかと思うんだ。突撃ばかりが戦いじゃないでしょ?」
「む、そ、それはそうかも知れんが……」
「それにね」
 そっと舞の手を取りながら速水が続ける。
「僕がここにいる。まだまだ力不足だというのは分かっているつもりだけど、ついていくよ。君に、どこまでも」
 明らかに頬に血が上るのを自覚しつつ、舞はあー、だのうー、だの言っていたが、やがて何かを決意したかのように速水を見返した。
「そ、そうだ。そなたは、わ、私の隣にいるのがもっともふさわしいのだからなっ」
 考えようによってはえらい大胆なその言葉に、速水は笑いながら、
「分かってる。離れやしないさ」と答えた。

 あ、舞が固まっている。

 ――だ、だからそなたはどうしてそう恥ずかしいセリフをさらりと言うのだっ!!
 文句を言おうと口を開きかけた舞の横で、速水が空を指差した。
「あ、ほら……」
「え?」
 突如、目の前に大輪の光の花が咲き、二人の顔を鮮やかに染め上げた。見る見るうちにその数は増していき、まるで光で出来た花束のように広がっていく。
 雨が上がり、ラストの二〇〇〇発投射が始まったらしい。
「きれいだねえ」
「うむ……」
 さすがの舞も、その美しさに目を奪われながら頷いた。
 と、そっとその肩に手がかかる。
「僕らにはまだ為すべき事がある。それは分かってる」
 速水は静かな声で言った。
「でも、一度それが始まれば立ち止まることも、ゆっくりと語り合うことすら出来ないかもしれない。だから、今ぐらいはゆっくりと君といたい。いいかな?」
「馬鹿者。時間やゆとりなど己の努力で作り出すものだ。……だが、まあ、その提案に賛成するのは、やぶさかで、ないぞ」
「ありがとう」
 それから二人はしばらくの間、夜空に繰り広げられる光の競演に見入っていた。轟音が闇を沈め、光が天に満ち、それはまさに火の国の祭にふさわしく勇壮で、力強いものだった。
 だが、祭には全て終わりがある。
 最後の一発が花開き、残像を夜空に刻印しながら消えていくと、急に静寂が訪れる。周囲にわずかばかりいた人も次々と姿を消し、まるで世界が沈黙しているようだ。
 しばしの静寂の後、舞がそっと呟いた。
「厚志よ」
「ん、何?」
「こういうのも、悪くはないものだな……」
 そう言うと舞は、速水の方にそっと頭を預けた。速水は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに微笑むと髪にそっと手を当てるようにして頭を包み込む。
 そっと一つになったその影を、いつの間にか雲間から姿を現した月が優しく照らし出した。

 人かへる 花火のあとの 暗さ哉
             ――正岡子規

(おわり)


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