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AIのべりすとテスト その1


 自然休戦期に入ってからしばらくした頃、熊本市はようやくのことで町全体がどこか落ち着いた雰囲気を醸し出すようになっていた。絶え間無い幻獣による襲撃により街は大きな被害を受けたものの、それでも今は徐々に復旧も始まり行き交う人々の表情もどこか明るいものとなっていた。
 そんな中、売り買いの声が賑やかしく交わされる新市街で買い物を済ませた速水と舞は、買い物袋を抱えながら連れだって帰り道を歩いていた。
 普段は戦いに明け暮れる学兵といえど、いや、だからこそこのような時間は例えようもなく貴重なものであり、一秒足りとも無駄にすまいと全身全霊を挙げて心から味わうのだ。例えその使い道が単なるごろ寝であろうとも、あの神経をささくれ立たせるような警戒警報を気にせず眠れるのであれば豪勢な贅沢というものであった。
 ましてやそれが愛しい人と共に過ごす時間であればいかばかりか。まあその辺りは舞の表情をみればおのずと明らかに……。
 あー、顔を赤くして俯くばかりでいささか判然としないところであるが、握られた手を離そうとはしないのだから、まあお察しあれ。
「さあ着いた……ん? どうしたの舞?」
「! な、ななな、なんでもないっ」
 唐突に離された手を見つめていた舞は、慌てて首を振った。顔はもうこれ以上ないくらい赤みを増しており、今頭にヤカンを乗せたら瞬時に沸騰しそうなほどであった。
 速水はしばしきょとんとした表情を浮かべていたが、やがてにっこりとほほ笑むと再び舞の手を取った。
「じゃ、早く中に入ろう? 楽しかったけど、お茶が飲みたくなっちゃった」
「あ、厚志っ!」
「ん、なーに?」
「い、いやその……なんでもない」
――こ、こやつは絶対楽しんでるなっ!

↓ここから下、FLASHがサポートしつつのAIのべりすとによる執筆

 私がこんなにも緊張しているというのに。
 舞は不機嫌そうに唇を尖らせると、ぷいっとそっぽを向いた。
「ねえ、舞。せっかくのデートなんだしさ、そんな仏頂面してたらつまんないよ。たまには笑顔を見せてくれないかな」
「たわけ。わたしは常に冷静沈着だ。それに貴様のようなへらへらと笑う軟弱者と一緒にするでない」
「ふうん、そうかな。でも僕は舞の笑顔好きだな」
「な……!」
 舞の顔が一瞬にして真っ赤に染まる。舞は目を白黒させると、あわてて言葉を捜した。
「ば……ばかものっ。そういうことは軽々しく言うものではないぞ」
「どうして? 本当のことだよ。僕、舞のこと大好きだし」
「……」
 舞は無言で顔を背けると、ぎゅっと速水の手を握り締めた。
 厚志はそんな舞の様子をじっと見つめていたが、やがて口を開いた。
「あのね、舞。今日は何日でしょう?」
「む? それは……4月30日だが……あっ!?」
「気がついた? 明日は舞の誕生日じゃないか。だからプレゼントを買いに行ってきたんだ。それで、はいこれ」
「え、ああ、感謝する。しかし誕生日か……忘れていたな」
 舞は照れくさげに微笑むと、小さな包みを受け取った。
「開けても構わんか?」
「もちろんさ。そのために買ってきたんだから」
 舞は丁寧に包装を解くと、中に入っていたものに目を向けた。
「これは……ブローチか?」
「うん。舞っていつも赤いスカーフをしているだろう?だから何か似合うものがあればと思って。どうかな? 気に入らないなら捨ててくれていいし……」
 舞はしばらく黙り込んだ後、無造作に髪留めを外した。そして代わりに受け取ったばかりのブローチをつけると、そのまま髪を束ね上げた。
「どうだ?」
「……すごくよく似合っていると思うよ」
 舞は満足げにうなずくと、上機嫌で言った。
「では行くか。わたしは少し用事があるのでな。先に帰っていてくれ」
「どこに行くの?」
「むろん、決まっているではないか。我が友壬生屋末央の墓参にな」
「……」
「どうした? まさか付いて来るつもりか?」
 舞は怪しむように速水を見やった。
「いや、その、僕も一緒に行っていいかな?」
「ふん、好きにするがよい。……厚志がいれば、芝村も寂しくあるまい」
「何それ? 変なの」
 舞の言葉の意味がわからず、厚志は首を傾げた。舞のことだ、また意味もなく怒ってみせるのだろうと予想していたのだが。
「なあ、厚志。先ほどはすまなかったな。貴様に八つ当たりしてしまったようだ」
「別に気にしていないよ。それより、僕はもっと舞のことを理解したいと思っているんだ」
「……」
 舞は口をつぐんで歩きはじめた。
「どうしたの? 行かないの?」
「……」
 舞は歩みを止めると、振り返らずに言った。
「あの時、わたしは怒りに任せて幻獣どもに戦いを挑もうとした。今思うと馬鹿なことをしたものだ。あのまま戦っていたら間違いなく死んでいたであろうに」「……そうだね」
「だから、今こうして生きながらえることができて、本当によかったと思うのだ。厚志、礼を言うぞ」
「……そう言ってもらえると嬉しいけど、僕はただ……」
「厚志、わたしは決めたのだ。たとえどのようなことがあっても決して絶望しない。どんなことがあろうとも必ず生き延びて見せると。そう、貴様とともに」
「舞……。うん、僕も同じ気持ちだよ」
「ふむ、その言葉を待っていたぞ。よし、これからも共に頑張ろう」
 舞は力強くうなずいた。

   ***

 墓標の前には花束が添えられている。
 壬生屋の墓石の前で、舞はしばらくの間合掌して瞑目していたが、やがて目を開けると口を開いた。
「壬生屋よ、久しいな。あれから色々あった。そなたがいなくなってからというもの、我等は戦いに明け暮れる日々であった。そなたの犠牲は無駄ではなかった。そなたが夢見た世界がまもなく実現するやもしれん。わたしが生きている限り、そなたの夢は決して消えぬ。だから安心して眠るがよい」
 舞は言葉を切ると、ゆっくりと立ち上がった。
「時にそなたは今頃何をしているのだろうか? そなたのことだから、まだ戦車に乗っているのだろうな」
 舞は苦笑すると、墓石に刻まれた文字を指先でなぞった。
「壬生屋未央……か。そういえば、そなたの名を聞くことは滅多になくなったな」
 舞は穏やかな表情を浮かべると、再び壬生屋の墓前に腰を下ろした。
 夕陽が舞の横顔を照らしていた。
「わたしは幸せ者だ。心の底からそう思える」
 舞はほのかに微笑むと、目を閉じた。風が吹いて、舞のポニーテールがさらりと揺れる。
「さらばだ、また会おう」
 舞はゆっくりと立ち上がる。
――壬生屋さん、君にもきっと……。
 おそらくは彼女にも為したかった事、告げたかった事はあっただろう。それがいかばかりのものかは想像することしかできないが。
……彼女の想い人であった者など、何処に果てたかすら分かりはしない。
 壬生屋の墓石を見つめたまま、速水は黙り込んでいたが、やがてゆっくりと顔を上げた。
「ねえ、舞」
「なんだ?」
「舞のこと、好きだよ」
「……たわけ。そんなことを軽々しく言うものではない」
 舞はわずかに頬を染めると、ぷいっと横を向いてしまった。
「えへへ、ごめんね」
 想い人に想いを告げる。そんな当たり前と思っていたことができるという事実が速水の胸の中に暖かな灯をともす。
「でもさ、本当に好きなんだよ」
「ふん、貴様という奴はまったく……」
 舞は呆れたように肩を落とすと、ため息混じりに言った。
「わかった。その件については善処しよう。ところで速水よ、わたしからもそなたに言いたいことがある」
「ん? なになに?」
 速水は嬉しそうにうなずいた。それに比例するかのように舞の顔に赤みが増していく。
 それはきっと夕日のせいだけではあるまい。
「実はな、わたしはそなたのことが……」
「僕のことが?」
 速水は期待を込めて舞を見やった。
「き、ききき、嫌いではないぞ」
「……」
「な、何なのだ、その目は! わたしの気持ちはわかっているのであろう? ならばはっきりと言え!」
 舞は耳まで真っ赤になって叫んだ。
「うん。舞のこと、大好きだよ」
「た、たわけっ! そういう意味ではなくてだな……」
「あはは、冗談だよ。……ありがとう」
「なんだ、急に改まって? ……まあ良い。そろそろ行くぞ」
「うん、そうだね」
 二人が去ると、後には静けさだけが残った。



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