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SHRが終わって、今日は部活もないからさっさと帰ってしまおうと思って荷物をして教室をでた。

今日は何のゲームしようかなと考えながら歩いていると校門へと向かう奏ちゃんを見かけた。

今日、部活はどうしたんだろうか。


『奏ちゃんっ』

「あ…みょうじ先輩、こんにちわ」

声をかけると少しいつもと違う笑顔で挨拶された。

『よかったら一緒に帰らない?』

「はい、喜んで」

にこりと笑う奏ちゃんに少し違和感を感じながらも隣に並んで歩く。

『今日、部活は?』

「ああ、私部活辞めたんです」

『え……?』

「ちょっと事情が出来て…続けられなくて」

寂しそうに笑う奏ちゃんになんでか胸が痛かった。


『そっかぁ!じゃあ、今度暇な時でも一緒に遊びに行かない?』

「良いですね!」

『てか今から行こう!』

「え?」

『勿論奏ちゃんが大丈夫ならの話ね?』

きょとんとした奏ちゃんが、しばらくして大丈夫ですと微笑む。

『じゃ、行こう!』

「はい」

私は奏ちゃんの手を引いて、まずゲームセンターに行った。

そしてプリクラ機に入る。

『私、女の子とプリクラ撮って見たかったのよねぇ。お初が奏ちゃんなんて幸せ』

「本当ですか?光栄です。あ、半分出しますよ?」

『いいのいいの!』

400円をいれて、色々な設定をしていく。

プリクラ機がポーズの指示をしてくる。
半分くらい無視してるけど、色んなポーズを撮ってから二人で落書きする。

奏ちゃんは結構変顔するタイプでした。でも変顔可愛い!

次はカラオケに向かう。
私はいつものようにキャラソンのオンパレードだったけど奏ちゃんは上手です!とほめてくれた。

そして奏ちゃんの歌声は天使でした。

一緒にトラへもんをデュエットしてくれたんだ。
もうなまえは幸せです。

最後に行ったのは駅の近くの喫茶店。

『今日は楽しかったね、でもごめんね付き合わせちゃって』

「良いんです。先輩のおかげで何だか気が楽になりました」

最初とは違う、少し頬を赤らめて笑う奏ちゃん。

「あの先輩、ちょっと聞いていいですか?」『何かな?内容によるけど』

「…みょうじ先輩って柳先輩のこと好きですよね」

『ぶーーーーーーっ』

楽しそうな顔をして私に尋ねてきたのは恐ろしいものだった。思わず吹いちったよ。


「大丈夫ですか!」

『君は唐突に何を言い出すんだね』

「すみません」

『はぁ…ジャッカルにも言われた。奏ちゃんにはバレてるって』

「あはは」

今笑ってる彼女の顔はいつもの通りに戻っていた。


『そんなにわかりやすい?』

「けっこうわかりやすいかも」

『マジか…』


ため息が出ちゃう。なんで皆にバレてるんだ。

この前柳くんと別れてからの帰り道、私が柳くんを好きなのはテニス部の人とかにバレてるってジャッカルが言っていた。

たしか幸村、仁王くん、柳生くん、奏ちゃん、ブン太に。


『でも私は別に柳くんに好きだなんて言うつもりないし。見てるだけでいいの』

「なんでですか?」

『柳くんは私なんかの手が届く存在じゃないもの』

「………………」

『あの声が聞こえる場所で見てるだけでいいの』

そう言うと奏ちゃんは、でも私応援しますねってガッツポーズしてくれた。

『私もちょっと気になることあるけど……聞いていい?』

「はい、いいですよ?」

これはずっと気になってたこと。幸村に聞いたらなんかされそうだから聞けなかったんだけど……

『奏ちゃんは幸村とどうなの?』

そう聞くなりぼんっと顔を真っ赤にした奏ちゃん。

「あの、その…」

『うんうん』

「き、聞いてもらってもいいですか?」

こういう話できる知り合いいないんですと頬を赤く染めながら言う。


「私で良ければ」

そう言うとぽつりぽつり彼女は話を始める。

合宿のとき他校の男子に告白されたこと。
そのあとの鬼ごっこのときのこと。


「越前くんに好きだって言われたときぽんって浮かんだのが幸村部長で、そのあと幸村部長に一人の女の子として好きだよなんて言われて」

『幸村やるなー!』

「先輩、恋愛は勢いですよ!」

『うぉ!?』

「ちょっとショックな事があると言っちゃうもんです!きっと柳先輩にも言っちゃいますよ」

『え、って言うことは……』

すごく照れながらブイサインをする奏ちゃん。

「告白してしまいました、恥ずかしながら」

『おめでとう!』

「でも……」

そこまで言ったら急に暗い顔してうつむいた。

「私、転校するんですよ」

『え……』

転校?私と幸村のマイエンジェル奏ちゃんが転校?

「告白してしまったあとになっていなくなる私が幸村部長に告白してよかったのかなって」

『何を言ってるんだ、いいに決まってるよ!てか幸村見たらわかるよ、奏ちゃんのこと大好きだから!』

「そうなんですか?」

ピロンピロン

「あ、メール。あ!」

『どうかした?』

「まだ荷物の整理が終わってなくて…妹が帰ってこいって。すみません」

『もうこんな時間だね、私もお兄ちゃんたちに怒られる。そろそろ帰ろっか』

「はい」

二人で会計を済ませて店をでる。

「あのみょうじ先輩」

『なに?』

「転校の話はジャッカル先輩たちには黙っててもらえますか?」

『うん、わかったよ』

「またメールしていいですか?」

『勿論!』

それから奏ちゃんと別れて、とぼとぼ家に帰った。

お腹を空かせた弟と泣きながら抱きついてきたお兄ちゃんにこっぴどく怒られた。

奏ちゃんは大丈夫だったかな。




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