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幸村の提案で今日の練習は鬼ごっこになった。

ジャッカル、赤也、丸井、仁王、柳生を捕まえ、あとは蓮二と黒柳のみ。

黒柳のことは幸村がやるであろう。和解したとはいえあの少女は恐ろしい。

蓮二を探さねば。
蓮二を探して部活棟にやって来た。

「……………いな」

『あばばばばばばばば』

「ん…どうしたんだ?」

廊下を歩いてると何処かから話し声が聞こえてきた。
一つは蓮二のようだ。

「む…蓮二。いるのか?」

声のした部屋に入るとそこには、真っ赤になったみょうじに迫る蓮二がいた。


「きっ」

「あぁ、弦一郎」

「キェェェェェエ」

「…………うるさいぞ、弦一郎」

「へぶしっ」

恥ずかしさのあまり、叫んでしまったら蓮二に何かを投げつけられた。


と言うより蓮二は黒柳に好意を寄せているのではないのか!?

でも最近蓮二は黒柳にちょっかいをかけながらもみょうじとも一緒にいるところもよく見る。

俺はどのように理解すればいいのだ!?

「なななな何をしとるんだ、蓮二!?」

「よくわからないがみょうじが顔を真っ赤にして後ろ向きに倒れそうになったので支えたはいいが、動かないんだ」

「大丈夫なのか?顔が真っ赤だぞ…」

「おそらくみょうじもお前には言われたくないだろうな…お前も気持ち悪いほど真っ赤だ」

「な!?」

「…ふふ、冗談だ。だが、本当に少し赤いぞ…何か良からぬ事を考えたのか?」


蓮二は彼女をゆっくりと寝かしながら、ニヤリと笑ってそう言った。

「よよよよからぬ事だと!?誰がそのような事を!!」

「弦一郎、少し黙れ」

そして自分のジャージを脱いでみょうじにかけていた。

「よし、これでいいだろう。行くぞ」

「え、あ…ああ」

部屋を出ていく蓮二に続き出ていった。


「蓮二、お前は」

「黒柳が好きなのか、とお前は言う」

「ぐっ」

「ああ、好きだぞ」

気になったので聞いてみることにしたのだが言おうとしたことを当てられ、さらっと答えられてしまった。

「さらっと言うな!」

「聞いてきたのは弦一郎だろう」

「う…で、ではみょうじはどうなのだ」

「どうって?」

「そそそその、好意を持っているのか?」

「さぁ?」

黒柳のときと同じく即答だったが反応は違って首を傾げる。

「さぁ?とはどういう意味だ?」

「面白い女子だとは興味はある。なかなか面白いデータがとれるしな」

「ほぉ」

「あとはあいつを見ていると無性にからかいたくなる。こういうとき、精市の気持ちが猛烈にわかるんだ」


よくわからないが蓮二は楽しそうにそう語っていた。

これは、好意を持っているということなのだろうか。

俺にはわからない。

その後蓮二を連れてテニスコートに帰ってからしばらくして幸村と黒柳が帰ってきた。

その後、蓮二の作った苦もちを俺、幸村、黒柳以外が食べた。

作った本人が苦さのあまり開眼しながら呪いを吐くように不味いと言ったのは恐ろしかった。





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