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「この痴れ者」

『綾様萌え綾様萌え。兼続ずるい、私も綾様に罵られたい、踏みにじられたい!』


今日は日曜日。休みの日です。

ジャッカルも今日は部活があるから相手してくれません。

ジャッカル以外に遊んでくれる友達なんていない、なんて寂しい奴なんだ私。

だから今は寂しく、一人で綾様に悶えまくってます。

私には兄と弟がいていつもなら相手してもらうのだけど、今日はお兄ちゃんは彼女とリア充しやがって不在。

弟は地元の野球チームに所属していて今日は野球の試合があって夕方まで帰って来ない。

つまり本日孤独!!


こういうとき、お母さんがいたら良いのになぁって思う。

お母さんはいるけど単身赴任のお父さんに子ども三人残して海外についていった。

というか私たち兄妹が海外に行くのを拒否ったんだけど。

そんなこんなで大学生のお兄ちゃんと私と、中1の弟の三人暮らし。

だからリア充兄とスポーツマン弟が居ないと私はひとりぼーっちー!!


『なんか説明していて悲しいな!!』

いいもんいいもん。
一人で萌え萌えしてキュンキュンしてやるんだから。

お兄ちゃんたちがいないんだからキャラソン大熱唱してやるんだからぁあ!!

「俺は…勝たねばならんのだ」

『ぷきゃぁああ』

と、まあ…友達もいないので一人でゲームしてます。

そしていつの間にか時間がすぎていて午後4時。


『あー、夕飯の買い物行ってない…はぁ』


ゲームに熱中しすぎてスーパーに行くのを忘れてました。

嫌だけど行かないと、野球の試合からお腹を空かせて帰ってきた可愛い弟にご飯を作ってあげられない。

リア充兄は知らん。

ゲームの電源を消してスーパーに行く準備をして家をでた。

今日は何にしようかな。
湊(みなと)は運動したあとでお腹減ってるだろうからなぁ。

たぶんお兄ちゃんはハンバーグ食べたいとか言うんだ。

でもなんか作るのめんどくさいから却下。

まず捏ねる気分じゃない。


うーん、なんか私はすき焼きのうどんが無性に食べたくなった。

よし、すき焼きだ!

スーパーについて野菜、豆腐と卵と材料をかごにいれていく。

お肉は安めのお肉を多めに買う。
お兄ちゃんも湊もお肉が好きだから買っとかないと足りなくなる。

わが家の男どもは質より量(なんか違う気がするけど)。

5パック買えば足りるだろう。

私はうどんが食べれればそれでいいので。

『うどん、うどん』


あとはうどんを入れればそれでよし。
あ、あとブン太にあげるお菓子を買おうかな。

てか今ある意味おんなじ学校の人とかに会いたくないなー

だってこの肉の量だよ?
お前どんだけ肉食うんだよってね

「この材料を見る限り今夜はすき焼きか」

『……!!』

なんだと!?この声は、今日も三成を使ったからわかる。
まさかの一番見られたくない人に…


恐る恐る振り返ると何やらノートを手にした柳くんがいた。何かを書き込んでますが、いったい何を?

『や、柳くん。何してるの?』

「ちょっとしたデータ集めだ」

『データって…なんの?』

「それは内緒だ」

内緒だと言ったときの微笑みにノックダウン寸前な私です。

「夕飯の買い物か?」

『うん、柳くんはなんでスーパーに?』

「親にトイレットペーパーの安売りを買ってくるように言われたんだ」

『え、トイレットペーパー安売りなの!?』

「ああ、いつもより安い」

『買わなきゃ』


でもちょっとすき焼きの具を買いすぎたからこれ帰るの大変だしなー

「心配することはない。俺が手伝おう」

『え?でも練習のあとで疲れているだろうし』

「気にするな、前にも言ったがお前とはいろいろと話したいこともあるからな」

『…でも』

「迷惑ならやめるが?」

『迷惑なんかじゃないよ!!』

「なら決まりだ」


そう言うと柳くんはレジに並んだ。私もトイレットペーパーを持ち柳くんの隣のレジに並んで会計を済ませた。

急いで袋に詰めたら、ひとつ柳くんが持ってくれてスーパーを出た。



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