「…おれのベッドになんでお前がいるのか十文字以内で詳しく述べろ」 「スオウさんのベッドが気持ちよかったから」 「はい十文字以上でアウトー」 「えー!」
合い鍵を使ってスオウさんの部屋のベッドに潜り込んでいたおれを、後からやってきたスオウさんはジト目で睨む。今日は昨日と違って酒を呑んでいないしもちろん酔っても体調を悪くしてもいない。となれば見習いに宛がわれた大部屋で寝るのが当然だけれど、おれは開き直ることにした。遊び半分で人を振り回すスオウさんに悩んでいたって仕方がないから、おれだって好きなようにする。 布団に包まって、動かない!とばかりに寝転べば、スオウさんは長い長い溜息を吐いた。けれどすぐに唇を歪ませ、「まあいいか」と呟いた。おれの頭の横に、スオウさんが腕を突く。
「ナニされても文句はねェってことだよな?」 「…男に何するつもりだよ、ヘンタイ」 「嫌なら出てけよ。おら、おれはもう寝るぞ」
体に巻き付けた布団を剥ぎ取られて、ベッドの上にスオウさんも入ってくる。ごろんと枕の上に転がった頭を眺めながら、無造作に伸ばされたスオウさんの腕を枕にした。「…………お前、」。たっぷりと間が空いて、零された呆れ声には気づかないふり。目をつぶったおれを追い出そうとはしないから、それはつまり、こんなわがままも許容してくれるってことなんだろ、スオウさん。
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