食後の穏やかな時間、寝起きの胃に半ば無理矢理食事を詰め込まれたローはベポを枕に食休みをしていた。副交感神経が働いて、消化器が動き出しているのを自覚する。同じくグルグルと腸が蠕動しているベポの腹の音を聞きながら、また眠りそうになったローに「ねェキャプテン」とベポが話し掛けた。返事はしない。口を動かすのが面倒くさい。
「キャプテンはさァ、ヤマイのことが好きなの?」
みんな言ってたよ、と無邪気な問いに、ローは「んー」と曖昧な相槌をした。「さァ、どうだろうな」。はぐらかす答えに、ベポは気分を悪くした様子もない。特に追求するつもりもないようで、「じゃあ、」とあっさり質問を変えた。
「ヤマイは、キャプテンのことが好きなのかなァ」
「…さァ、どうだろうな」
好きでも好きでなくても、関係ないとローは思う。ハートの海賊団にいる限り、ヤマイはローのものだ。例えその左手の薬指が、誰かに奪われた後だったとしても。