マルコ長編 | ナノ


マルコは気付いてるのかね。気付いてねェんだろうなァ。気付いてたらあのマルコが、あんな乙女チックなことするわけねェよ。

「…おいサッチ、なにじろじろ見てんだよい」
「ん、いンや、お前がボーッとしてっから珍しいなァと思ってよ」
「誰がボーッとしてるって?お前と一緒にすんなよい」

あっちの雲が怪しい動きしてっから、時化が来るかと考えてたんだよい。
マルコが指で示す先には、確かに嵐の前に見たことのある動きをする雲があるような、違うような。おれにはわからんと首を傾げれば、マルコは呆れたように笑っていた。それがいつものマルコだ。だけど今日のマルコは、どこかおかしい。

    あ、ほら、また。
指先で唇に触れて憂い顔。遠い目で考えているのは、誰のことやら、な。


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