マルコ長編 | ナノ


どうしても不自由になる船の中、切羽詰まったら男で済ませるなんていうのはザラにある話だけれど、ノーマルな性癖なら男に生まれた限り女を抱きたいと思うのが当たり前で、だけど今まで切羽詰まるほど溜まったことはなかった。もうそんなに若くもないし。元々性欲が強い方でもないし。
マルコもそうなんだと思っていた。少しだけ神経質で潔癖症な部分があるから、一夜限りとか、商売女とか、そういうのは好きじゃないんだろうと勝手に思っていた。事実、女で遊んだとかいう話を家族から聞いて、呆れた反応をしていたのを見たことがある。
だけどそれはおれの希望を押し付けていただけで、もしかしたらマルコだって普通に発散していたのかもしれない。うちのナースや、着いた島の女で。ただそれをネタにして笑い話にするほど下品ではなかっただけの話。

初めてマルコが知らない女と、事後の匂いを漂わせている光景を見て、おれの腹に重たいものがどすんと落ちてきた。ショックだったっていうのは勿論、だけど納得もした。

なるほどこれが、諦めがつくというやつか。

どこかすっきりとした気分で思い知る。やっぱりおれはどこかで期待して、マルコを諦められていなかったんだな。おれは男でマルコも男。叶う望みなんて欠片もなかったのに、なんて滑稽なんだろう。我ながら笑ってしまうよ。ああ、おかしい。ははははははははは。あーあ。


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