マルコ長編 | ナノ


エースにまで心配かけて、何をやってるんだろう、おれは。
自分が甚だ嫌になる。

冷静になって考えてみれば、おれもマルコもいい年した大人で、今更縁を切るにも切れない家族なんだから、下手に避けている今の状態はただ関係を悪化させるだけだ。

避けててごめん、お前のマジギレ超怖かったからびびってた。
言い訳はこれにして、エース曰く「仲直り」を早くしよう。出来る限りいつもの顔と軽いノリで話し掛けて、それでもマルコが怒ってたら、今度こそ原因を突き止めて謝るんだ。おれの知ってるマルコは反省する家族を嫌うほど冷たい男じゃない。そう思ったら気分が随分と軽くなって、町の中心を歩いた。ちらほら見掛ける白ひげのクルーにも挨拶をしながら、大通り、酒場、服屋に飯屋。覗けるところは全部覗いたが、マルコはどこにも見当たらない。もしかしたら入れ違いで船に戻ったのかもしれないと、とりあえずよく冷えた麦酒だけを屋台で買って踵を返した。すると視界を変えた途端、ちらりと金が目の端で揺れる。

    マルコ?

髪色だけで反応したが、あながち間違いではなかったようだ。何か疲れたような、くたびれたような姿のマルコがいた。心臓が跳ねる。どっ、どっ。胸を突く鼓動が煩わしくて、おれは一度息を飲み、そっと吐き出して、それから、    また、息を飲んだ。

ようマルコ、なんか久しぶりな気がするなァ、なんて軽口を叩いて様子を見るつもりだったおれは、マルコの首筋についた真っ赤な口紅、それから誰かにしがみつかれたように皺の寄ったシャツ、それにキツイ香水の匂いから推測した行為を頭に描いて言葉を失った。
マルコが出てきた路地裏からは、後を追うように不機嫌そうな様子の女性が出て来る。こんな白昼で、まさか、まだ早いだろ、と思ったけれど、おれたちはそんな規律なんてあってないような海賊だ。昼間だろうが朝だろうが、やりたい時にやりたいことをやる。

そうか。
納得した。

マルコは女に対してストイックだから、無意識に安心をしていたのかもしれない。でも、そりゃあそうだよな。マルコだって男なんだから、たまるものはたまる。発散したい時には発散する。

例えば、女を買ったりして。

「…なんだ、お楽しみだったか。マルコもやるなァ」

おれを見付けて固まるマルコに、へらっと笑ってからかう口調。上手くごまかせたはずだとも。だっておれは、諦めたんだから。


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