SSリクエスト祭5 | ナノ


エースに好きな人が出来たってェ!!??ひゃっほい!!!

とばかりに噂を小耳に挟んですぐさま本人の元へ突撃したおれはめちゃくちゃ嫌がられた。嫌がられたっていうか恥ずかしがって殺す気かっていうくらいの抵抗を受け、噂を漏らした兄弟への罵詈雑言をまあまあと宥めて押さえつけ「で、どんなこ?ナース?兄弟の誰か?」と改めて聞いたので「うるせェな!!放っとけよ!!!」と拒絶されたのだ。
教えてくれたっていいじゃん……おれ白ひげの兄弟の仲では一番お前と仲いいと思ってたからおれより先に他の兄弟が知っててショックなんだけど?
まあその手の話題はよくわかんないから気付かなかっただけかもしれんけど。でも他の兄弟は知ってるのにおれは知らないとか許せない。そんな楽しそうなことぜひ混ぜてほしい。応援させて。そんで成就したら宴しよ。

じたばたと加減なく抵抗するエースが逃げられないように覇気をまとった腕でぎゅむぎゅむしがみつきながら「お゛し゛え゛て゛く゛れ゛る゛ま゛で゛は゛な゛さ゛ん゛か゛ら゛」と駄々をこねたら、諦めたのか引いたのか知らんがひとしきり暴れたあとに観念して大人しくなってくれた。真っ赤な顔でそっぽを向く顔がかわいい。お前もそんな顔するんだな。若者らしくてとってもいいと思うよ。微笑ましくなっちゃう。

「誰々?ナマエくんにもおしえて?」
「……いやだ」
「そう言わんとヒントだけでも!ナース?兄弟?」
「…………きょうだい」
「おっ!どんなやつ?おれも仲いい?」
「………おちょうしもの、だれとでもなかよくなれる」
「マジ?誰だろ?サッチ?」
「ちげェ!」
「えーっ誰々?名前の頭文字は?」
「もういいだろ、しつけェ!!」
「待って待って、最後ヒントひとつだけ!何番隊所属?」
「………………に」
「うっそおれらと同じじゃん!マジ気付かなかった」
「っ終わりだもう!離せ!!」
「ああん」

乱暴に振り回されて腕が離れてしまい、吹っ飛んで床をころころと転がっていくおれにエースは背を向けて完全に臍を曲げてしまったようだ。「ごめんね、からかってるわけじゃなくて、エースが好きになる子のこと知りたかったから」と謝れば、まだそっぽを向きつつも「…お前は?好きなやつ、とか」と話しかけてくれた。おっと交換条件というやつですか。でも残念ながらおれに好きな子というのはいないんだなァ。

「うーん?おれはそういうのよくわかんないから、とりあえずめっちゃおっぱいおっきくてえっちな子がいいかな!!」

セックスは好きだけど恋とか愛とはよくわからん。おれにはオヤジと家族がいればいいし、みんなに「ナマエはまだおこちゃまだなぁ」とか言われてもわからんものはわからんのだから仕方ない。けれど真剣に恋というものをしているエースに、おれの返事は茶化しているように思えたのだろうか。
更に機嫌を悪くしたような声で「最悪だ、お前」と吐き捨てるようにぶつけられた言葉に、ちょっと傷ついた。ごめんね、からかってるわけじゃなくって本当にわからんのだってば。いつかおれに好きな人が出来たら一番にお前に報告するから、そのときは二人で恋バナしよおね。

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