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「泣かせたらごめんな」などと、なめた口をきく。確かに慣れているわけではない。負担や痛みがあるのも当然だろう。しかしその程度で今更泣くとでも思っているのだろうか。「誰が泣くか」と鼻で笑ったスモーカーが、ナマエの言葉の真意を知ったのは間もないことだった。


「っふ…んぐ、」

じりじりと皮膚を炙るように舌や指先が触れてくる。耳、首筋、乳輪や臍。むずがゆい部分を徹底的に、けれどじれったいほど弱い刺激でなぞられて、腹の奥に熱が溜まっていくようだった。
身をよじらせても手が離れていくわけではない。まして強く触られるわけでもない。腰を揺らすスモーカーを、楽しそうに見下ろすナマエは最初から優しくするつもりなどなかったのだ。ぎりぎりと歯を噛み、射殺さんばかりに睨みつけると、「きもちいい?このへん好き?」なんて白々しい声が落ちてくる。くそやろう。

「き、らい、だ…っ!」
「そう、慣れてないからかな?」

気持ちよくなるまで触ろうね。初めてなんだから、ゆっくりしようね。
今ならその言葉が、額面通りのものではないとわかる。いっそ殴りつけてしまおうかと握る拳を、ゆるく撫でられ、宥めるように手のひらで包まれては反射的に力が抜けてしまう。ずっと前からそうやって、怒らないでと諫められてきた癖なのだ。
自分で操作も出来ない身体に、もはや好き勝手されるのは避けられない事態と察知して、スモーカーは歯を食いしばった。くそやろう。泣いたりなんざしねェぞ。



スモーカーに「泣かせたらごめん」と言ってわざと焦れったく肌に触れると、真っ赤になって「嫌いだ」と言いました。
#大好きだから意地悪したい
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