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仕事はもちろん時間厳守。それについては異論ない。けれど身内での約束事において少しばかりルーズになってしまうのは仕方のないことだろう。待ち合わせに5分10分遅れてしまうのは当たり前。気分が乗らなければ予定を反故にすることもある。けれど誰彼所構わず適当なことをしているわけではない。特にグラディウスは海賊のくせにルールや時間をうるさいので、おれは彼の前では時間も約束もきっちり守るようにしている。いいところを見せたいというわけではなく、わざわざ地雷を踏みたくないだけだ。他人ならばまだしも、グラディウスはドンキホーテ海賊団の仲間、いわば家族のようなものである。家族とは仲良くしたいし、出来れば怒るより笑っていて欲しい。

    っていう、おれなりの気遣いだったっていうのに、どこぞの誰かからおれが本当はだらしない人間だっていうのを小耳に挟んだらしいグラディウスは激怒しておれに説教しにやってきた。「どういうことだ」「お前がそういう人間だとは知らなかった」「おれ以外には気が緩むということか」と、さっきからマシンガントークでおれを糾弾してくる。確かにうちのファミリー一通りにだらしないところを一度は見せてはいるが、グラディウスには一切迷惑を掛けていないというのになんでここまで叱られなければならないのか。ついうんざりした顔をしてしまうと、グラディウスはマスクとゴーグルでほとんど隠れている顔を真っ赤にして怒りながら、一際大きく「おれには気を許せないということか!」と怒鳴った。っていうか論点ずれてね?

「ちげーよ。怒ってるお前が嫌いなだけ」
「き、…っ!」
「だってグラディウスさァ、黙ってれば可愛いのに」
「……!」
「そうそう、そんな感じで」

にっこり笑ってもごまかされてはくれないだろうと踏んでいたのに、グラディウスは真っ赤な顔のまま、黙り込んでしまった。これはラッキーだ。今のうちにトンズラここう。


テーマお題でイチャイチャさせったー@グラディウスで「黙ってれば可愛いのに」とかどうでしょう。
http://shindanmaker.com/531520


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