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ペロスペローが幼い頃から雑用としてビッグ・マム海賊団に所属していたナマエと、つい先日恋人という関係になった。自分の子供は達を道具として扱うリンリンに知られては勝手なことをと叱られてしまいそうなので誰にも言わない秘密の、そして政略結婚でも命じられようものならすぐに破綻する関係だとすれば、今までと何が変わったと聞かれたところで首を傾げてしまう。恋人として関係を改める前にも性欲処理として身体は重ねていたので尚更だ。『雑用と船長の長男』から、『恋人』に変わった。それも自分達以外は知り得ないことなのだから、関係を改める必要はあったのだろうか。疑問ばかりだ。

だが、「長い付き合いだし、そろそろちゃんとしとこうか」と言い出したナマエから付き合おうと告白を受けた時、悪い気分ではなかった。だからほんの少し、浮かれていたのだろう。馬鹿なことを言ってしまった。

「お前のその趣味はお前にだから似合うのであって、おれには絶対に似合わないし絶対に嫌だ」

揃いの服でも贈ってやろうか?と言ったペロスペローに、ナマエの返答は拒絶の強いものだった。衣服に頓着しないナマエが、くたびれたシャツと柄の合わないジャケットを羽織っていたので伝えた言葉だ。兄弟のお下がりをよく貰っていたようなので、今更自分と似た服を着ていたところで勘付くものはいないだろうと思っていた。拒絶されるとは思っていなかった。だからこそ、ナマエの返答は意外なものだったのだ。腹が立ってキャンディの杖で殴り付けた。なぜこんなにも腹が立つのかは、よくわからなかった。



「この間は悪かったな。ほら、これやるよ」

ぽん、と放り投げるように渡されたビロードの箱。掌サイズの小さなそれを開けば、中に入っていたのは2つのリングだ。ターコイズの石が入っていて、デザインもそう悪くはない。

「おれはいつも手袋つけてるから見られないし、お前は右手にでもつけとけばペアリングってわからないだろ」

するりと手を取られ、右手の薬指にリングが嵌められる。サイズはピッタリ。いつの間に測ったというのだろうか。

「あー…お揃いって、そういう意味じゃなかったか?」

照れたように赤く染まる頬。
この男の恋人らしい表情を、その時ペロスペローは初めて見た。



ペロスペロー言ったわがままは「ペアルックしたい」です。
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