short | ナノ


「『裸踊りしないと出られない』…なんだこれ」

ドアも窓もなく叩いてもビクともしないこの奇妙な部屋に二人で閉じ込められて何事だと思いはしたが、出る条件は大して難しいものではないらしい。酔っ払いがやるような芸を素面で披露するには確かに抵抗もあるが、出られなくなるよりかはいいだろう。
この人はやりたがらないだろうな、と思ってナマエさんを見れば、ナマエさんもあからさまに嫌そうな顔でおれを見るものだから、つい笑って「おれやるよ」とシャツに手を掛けた。けれどその手を抑えたのはナマエさんだ。嫌そうな顔のまま、首を振って制止をかけてくる。

「…バカ、どこの誰が監視してるかも分からんのに無防備になるな」
「だってさ、60分以内にってあるし、裸踊りして出られるんならそのくらいいいだろ」
「………おれがやる」
「エッッ!?」

思わず大きな声が出たが、ナマエさんは気にせずおれを部屋にあった椅子へ座るよう促すと、「特等席だぞ」と挑発するように笑った。
確かに、裸踊りなんてアホみたいなことしそうにもないこの人の姿が目の前で見られるなら特等席だが、堂々とやりきられるのもそれはそれでイメージが崩れてしまいそうだ。
複雑な心境で成り行きを見守っていると、ナマエさんはおもむろに歌いながらリズムに合わせてくるくると踊り始めた。ただし、服を着たままで。

どういうことだと目を丸くしていると、ナマエさんの瞳が艶めかしく歪んでいくことに気付いた。
着ていたシャツのボタンをひとつひとつ外して、露わになった素肌を見せつけるように自らの指先でなぞる。滑らかな仕草でベルトを抜いて、おれの首へ引っ掛け軽く引き寄せ鼻先に股間を寄せる様はまるでサービス精神旺盛なストリップ嬢だ。いや、まるで、じゃない。これは間違いなく    


「ス、ストリップじゃん!!」
「…あ?だから、裸踊りだろ?」
「おれが思ってた裸踊りと違う…!」

抗議をした声は掠れていて、喉が渇いているのがわかる。咳払いをしてもそれが良くなるわけではなく、水を飲んだとしても同じだろう。この渇きは、間違いなく興奮をしてしまっているせいだ。

「…シャンクス、ちゃんと見ろ」

するりと指先で顎をなぞられて、思わずゴクリと喉を鳴らした。促されて見上げた先には、いつもの、色気ばっかり垂れ流してるナマエさんの顔。「お前にはおれの前だけでやってもらうからな」なんて、そんな、すけべな声で囁いてくるな!!!


スオウは『裸踊りをしないと出られない部屋』に入ってしまいました。
60分以内に実行してください。
https://shindanmaker.com/525269


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