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お互い忙しい身の上だ。恋人という間柄をとってはいても会えることは少なく、会ったところで話の内容はほとんど仕事のことばかりになってしまう。
「一緒に暮らすか」と提案したのはおれだが、あっさりと頷いたサカズキもおそらくは同じことを考えていたのだろう。わざわざ会いにいく時間を取るよりも、帰ったら会えるように仕組む方が効率が良い。そうして始めた同居生活は会いに行く時間が省略出来る程度で会える頻度も時間も飛躍的に伸びたとは決して言えないが、それでも多大なる収穫があったのは主張出来る。

遠征ばかりで家に帰るのも稀なおれたちは、生活サイクルも合わずに帰宅しても相手が不在だったり、もしくは既に就寝してしまっていることも珍しくはない。二つ並べたベッドの片方が不在のままなのも、もはや見慣れた光景だった。
しかし低確率でおれが先に就寝し、その後でサカズキが帰って来ると、普段の働きを褒められているかのように良い事があるのだ。

ベッドの端に丸まって眠る癖のあるおれの背後で、掛けた布団がめくれる気配。遠慮なく入ってくる気配はもちろんサカズキのものだ。自分のベッドがあるにも関わらず、わざわざこちらへ入ってくる行為を、おれは言葉に出来ないほど愛しいと思う。ベッドだけではない。リビングのソファでうたた寝をしてもサカズキはいつの間にか寄り添って寝ている。

「おかえり」

サカズキの方を向かないまま、そっと囁いて後ろに手を回す。触れてくる掌は常より熱くて、照れているくせに止めようとはしないサカズキを、おれはやはり愛しいと思い、同居を提案した自分を褒めてやりたくなってしまうのだった。



<サカズキの甘え方>
いつの間にか隣で寝ていることが9割5分で、構ってあげると顔を赤くします。
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