SSリクエスト祭2 | ナノ


セックス中毒で頭の中がお花畑のイカレた男だと思っていたのに、ナマエの自制心はレイリーが思っているよりも強い。付き合ったら早々に手を出してくるかと若干身構えていたレイリーの予想は大きく裏切られ、ナマエはレイリーの覚悟を嘲笑うかのように指一本すら突っ込んでこなかった。

どうやらレイリーは、ナマエにセックス嫌いの男だと思われているらしい。出会った当初、何度も彼の『能力』の餌食になる惨状をこの目で見て拒絶し続けていたせいだろう。レイリーが嫌だったのは商売女でもない男に、しかも自分が掘られるというのが許せなかっただけで、本来はレイリーとて性に奔放な男である。それは健全なことであってレイリーはセックスをすることを恥じてもいないが、今『お付き合い』をしているナマエを相手にすると少々話は別だ。彼はレイリーより随分と年下で、そして突っ込む方だと明言している。気持ちいいことが好きな代わりに、痛いことが大嫌いだと首をふる彼は、以前一度だけ突っ込まれることを試してみたけれど相手が悪かったのか痛いし気持ち悪いしですぐに止めてしまったのだそうだ。自分ならば能力でどんな未通女でも最初から死ぬほどの快楽を与えられるということで、それからはずっと突っ込まれる方は断ってきたし今後も断るつもりだと言っていたのはレイリーと付き合うことになる前だった。なのでレイリーは、自分から手を出すということができなくなっている。正確に言えば、プライドが邪魔して出来ずにいる。
今まで散々否定して馬鹿にして拒絶してきた彼の『能力』と『性癖』を、どんな顔で今更自分に発揮しろといえばいいのか。プライドを押し殺して言ったとて、つまりその要求は自分を犯してくれと懇願しているのと同義である。レイリーにはそんな、今までナマエに股を開いてきたようなビッチの真似事は出来ない。したくない。一緒にされたくはない。

なのでレイリーはそれとなくナマエの方から手を出してくるように仕掛けているのだが、レイリーに性を感じて欲情するような様子を見せるものの、「大事にしたいんだから、そういう無自覚な色気やめて!」と可愛いことを言って自分で抑え込んでしまうのだから存外彼の理性は強かった。偶然を装って二人きりで風呂に入ってもダメ、冬島で「暖を取るためだ」と一緒のベッドに入ってもダメ、薄着で目の前をうろついてもダメ。全て「おれ以外の前で、そういうことしちゃダメだからね」と可愛い懇願で流されてしまうのだから、レイリーは憤ればいいのやらときめけばいいのやら。なによりお前に襲われたくてこんなことをしているのだと言えるわけもない。若いレイリーには、要らぬプライドが立ちはだかって邪魔をしていた。

ナマエの理性が崩れるのが先か、レイリーの好奇心が我慢できなくなるのが先か。
昔ナマエに犯されていた被害者を思い出して、今日もレイリーの若い身体は熱を帯びては放置されるのだった。

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