SSリクエスト祭 | ナノ


なんでこんなことになったんだっけ。よく覚えていないが、頭がふわふわしているのは酒のせいだということはわかる。マルコが「飲もうぜ」と差し出した酒は度数が強くて、その上グラスに次から次へと注がれるのであっという間に酔ってしまった。おれは昔から酔うと気が大きくなってしまって、思い出すのも恥ずかしいくらいの失態をやらかしているので宴の時にも自制するようにしているのだが、今日はそう、マルコの様子がどこかおかしくて、部屋で一人酒なんか飲んでいるから心配になって声をかけたら「飲もうぜ」だったのだ。そうだ、マルコは何か悩んでたんじゃないのだろうか。様子を見にきたおれが酔っ払ってしまっていては意味がないというのに。まだまだどんどんとおれのグラスに溢れるほどの酒を注いでいるマルコの腕を取り引き寄せた。力が入りすぎて抱き込むようになってしまったのは酔っ払っているせいだ。まあいいか。どさくさ紛れにキスでもしとこう。かわいい額にちゅっと音を立ててキスを落とすと、不満そうに唇を尖らせたマルコがおれを睨んだ。そんな顔をしてもかわいいだけなのでやめてほしい。今そんな気分じゃなかったとしても、してしまったものは仕方がないのだし、そんな口をされるとそこにもキスをしたくなる。

「…口にしねェのかよい」
「……すごい、マルコ」
「なにが」
「おれも今、口にしたいなーって、思ってた」
「…だったら無駄口叩いてねェでさっさとしろよい」
「ん」
「…ん」

ちゅっちゅと啄むようなものから、徐々にお互いエスカレートして舌をベロベロ絡ませ合うキスで興奮するなという方が無理な話だ。しかし最後の理性が、マルコが悩んでいるのならそっちを解決するのが先だよ囁いてくる。「なァ、マルコなにか悩んでた?話してみろよ、おれが出来ることなら何でもしてやるから、なァ、マルコ、なァ…」。マルコのためを思って促す言葉を掛けながら、手はごそごそとシャツの下をまさぐってるんだから説得力の欠片もないだろう。だが早く言ってくれないと、おれは悩んでいる恋人の部屋で酔っ払ってセックスしただけのクズ野郎になってしまう。大事に扱いたいのは事実だ。けれど長い片想いがようやく実った反動に加え今日はアルコールまで入っているので、性欲が抑えられなくなってしまっている。硬い腹筋をなぞり、耳朶を噛みながら「教えて」と囁くおれに、マルコはそれでも教えてくれなかった。それどころか「知りてェなら、言わせてみろよい」とエロくおれの首筋を撫でながら挑発してくるので、おれの理性はいとも簡単に爆発してしまったのだった。

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