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Q.ルッチ長編主さんがエニエス・ロビーで働くことになった経緯を教えて下さい!

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水の都で生まれたなまえが、この土地を離れたいと思うのは至極当然のことでした。島の周囲は勿論、島の中心部でさえ海水に囲まれていて、造船技術で栄えたこの街には自生が可能な草花や、動物が棲息出来るだけの自然がなかったのです。
彼が丹精込めて育てた花や樹木でさえ、家の中に仕舞える程度の狭いプランターの中でしか生きられません。庭になんか植えてしまったら、水害で瞬く間に台無しになってしまいますから。

常々「島を出たい、いっぱいの動物と植物に囲まれて暮らしたい」と訴えていた彼に、ある日吉報が舞い込みます。

「動物はいるかわかんねェけどよ、エニエス・ロビーで庭師を募集しているらしいぜ。お前、土いじり好きだろ」

そう言ったのは知り合いの船大工でした。線路の整備がどうたら、ということでエニエス・ロビーへ行った際、そんな話を小耳に挟んだというのです。彼はすぐさま頷いて、その日のうちにエニエス・ロビー行きを決めました。
「いいかなまえ、面接通ったとしても雇い主に嫌われたら解雇されるんだぞ。お前に愛嬌なんか期待しない。だが最低限挨拶だけはちゃんとしろよ」。そうアドバイスしたのは兄でした。心配性の気がある彼は、自分もあまり良い境遇ではないというのに気に掛けるのはなまえのことばかり。自分が彼から離れれば、ようやく彼も彼自身のことを考えられるのではないかとなまえは思いました。いくら人間に興味がないとはいえ、唯一の肉親くらいは気に掛けます。「ばいばい兄さん。これからは自由に生きてね」。そう言って別れを告げた時、兄は泣きました。しかしその直前に水路へ落ちていたためずぶ濡れで、その頬に伝うのが涙なのか海水なのか、なまえには区別がつきませんでした。

そんなこんなで島を離れたなまえは、今は草木に囲まれ、運命の豹とも出会い、幸せな日々を過ごしています。めでたしめでたし。


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