ネタ倉庫 | ナノ


女装癖のあるかわいい系男子(notカマ)に振り回される青雉さんの話。

平均成人男性より小さくて細くて、変声期がきてもなお高いままだった声。そして何より顔がべらぼうにかわいかったため、昔から女の子に間違われ続けてた。間違われるだけならもう慣れたけど、年頃になるにつれ男に惚れられること星の数。おれが男だと知った途端にやつらは逆ギレするか、それでも構わないと襲ってきやがる。逆に惚れた女の子にはことごとく「女よりかわいい男はちょっと…」とフラれる始末。男らしい格好してもボーイッシュな女の子だと世間は勘違いしてしまうし、男らしい性格だったけど知らん人に女の子らしくないとか叱られて臆病になってしまった。

そうか顔か、この顔が悪いんか、いっちょ傷でも作ったろかい!とナイフを顔に突き立てようとした瞬間を家族に見付かってしまい怒られるわ泣かれるわ監視されるようになるわ。そのうち精神的に病んで、友達いない、彼女もいない、ろくなもん食ってない!となんかのさなぎのように引きこもること3年。見兼ねた両親が救いを求めたのは昔からかわいがってくれた叔父、ボルサリーノおじちゃんでした。ちなみに戦桃丸くんとは違う両親。つまり従兄弟同士。

「わっしが鍛えてあげるからァ海軍に来るといいよォー」
「…そんなむさ苦しいところに行ったら、おれ今度こそ犯されちゃう」
「そんなことわっしがさせないよォー」
「…ほんと?」
「ほんとだよォ〜」
「…じゃあ、いく」

ボルサリーノおじちゃんの大きな手に小さくて細い手を乗せて、いざ行かん海軍への道。

最初の数年はボルサリーノのお手伝いとして下働きしながら修業していたら、元々戦闘のセンスがある家系だったのと本人の執念が功を奏してめきめき強くなりました。あっという間に将校です。
ただ鍛えても体つきはまったく変わらなかったので、相変わらずかわいいお顔に華奢な骨格。海軍でもやっぱり勘違いされ惚れられまくってコクられ男だと知ったら逆ギレされるか開き直って襲われるかの繰り返し。セクハラや下世話な嫌みを言われそうになることも少なくない。だけど昔と違うのはバックにこわーいボルサリーノおじちゃんがいることと、自分自身がすごく強くなってること。人間不信はますますひどくなるけど、怖い思いはしないようになりました。

「男は敵だし女もおれを目の敵にする…おれこのまま誰とも打ち解けられなかったら戦ちゃんを嫁にして一生幸せに暮らすよ…」
「色々と突っ込みたいことがありすぎるんだがまず聞きたい、そこにわいの意志は」
「ない」
「言い切ったな」
「好きだよ戦ちゃん。おれより先に彼女作りやがったら殺す」
「なんちゅう理不尽だ」

年が近くて昔から仲が良かった従兄弟の戦桃丸くんとボルサリーノさんしか信用出来る人がいない。常にぴりぴりいらいらしているうちにある日ぷっつんしちゃいました。
少しでも男らしく見せようと細かいところまで気を配った私服を全部捨てて、代わりに身につけるのはスカート・チュニック・ぶかぶかニットにニーソとショーパン。そうですつまり女物のお洋服です。
雑誌で見た女の子の服をそっくり真似して、さらに見よう見真似で化粧もしてみたら、どっからどう見ても華奢な美少女に仕上がりました。
「似合う?」ってお披露目すると、戦ちゃんは顎が外れそうなほど驚いてくれたし、ボルサリーノおじちゃんは「オ〜………」と言っただけだけどその後は黙りこんでしまったので多分すごい驚いてる。そりゃそうだよなだって今までずっと女扱いされるの嫌がってたんだから。
でもおれ気付きました。どうせ間違われるならいっそ楽しんでしまえばいいのだと。馬鹿な男どもなどおれに惚れさせて弄んでボロ雑巾になるまで尽くさせて、揚句の果てに嘲笑って捨ててやるわプギャー!m9(^p^)

本来の性格がS寄りなのでこの決断は人生を一転して楽しいものにさせました。騙されて泣く男は星の数。彼女持ちだって容赦しないぜ。悪いのは惚れた男とおれより魅力のない女だろ?破滅しようが知らんぷり。それでも好きだと言うならひざまづいておれの足を舐めな!

ある意味逞しくなった主人公を、「まあ楽しそうだしいいかねェ〜…」で傍観するボルサリーノと戦桃丸くん。
「いやいやダメでしょあれは…海軍内部崩壊おこすよ…どうにかしなさい身内」と言ってしまった青雉さんのところに秘書官として預けられてしばらく、主人公の顔に騙されない青雉さんに安心して普通に仕事が出来る主人公と、普通にしてればすごくいい子の主人公にほだされていく青雉さん。
あらららどんな性悪かと思いきやすごいいい子じゃないの…女の子扱いさえしなきゃいいってこと?いやでもこんなかわいこちゃんなんだもんなァ…いやいやいや何を馬鹿なこと言ってんのおれ…かわいこちゃんっつっても相手は男よ?ほらこんなとこで大口開けてうたた寝なんかしちゃって無防備でまァ………………………。
「…起きないとキスしちゃうよ?」と色気たっぷりに囁いた瞬間、ぱちっと真ん丸おめめが開いて、暗転。気付いたら食われてましたとさ。

「えええええちょっと待ってどういうこと」
「青雉さんサーセン。間違えました」
「なんでなんでいや待ってまずなんで海楼石の手錠持ってんの!?」
「能力者相手に襲われることも少なくないんで…」
「なんでおれがやられたの!?」
「やられる前にやれがモットーなもんで…」
「途中でおれって気付いたよね!?」
「おれ若いんで途中で止められないんですよねー…あ、気持ち良かったです。ゴチです」

ちょっとした下心のせいでとんだ展開になってしまいました。ボルサリーノになんて言えばいいんだよぉぉおおお…!!と頭を抱える横で、「よくあることなんですよー下心がある人が寝てる時に近付いてくると、防衛本能っていうんですかね、喰われる前に喰ってやろうっていう」と飄々と言いながら、少しの沈黙のあと、「…青雉さん、おれに下心あったんですね」。信用してたのに、っていう一言が青雉さんの良心にグッサー。言い訳もできず、それでも仕事で顔を合わせるのでぎくしゃくした日々が続いてしまいます。軽口とかも叩けなくなった関係になって初めて、「あーおれこの子に惚れてたんだ…」と自覚しちゃった青雉さん。

「なァ、どうしたら許してくれる?オジサンお前に嫌われたら悲しいんだわ」
「…嫌ってないですよ?ただおれの中の『大好きな人』の枠から外れて、『その他』の枠に入っただけだから」
「あらららら…それって嫌いよりひどくない?」
「だって、青雉さんも他の男と同じだってわかったんですもん」
「…ごめんね。確かにおれ、下心あった」
「………おれは男だって言ってんだろ、変態」
「うん、知ってたし、むしろ返り討ちに遭ったけど、それでもさァ、好きなんだわ」
「…レイプされても好きって、青雉さんマゾなの?」
「おじさんが真剣に告白してるっつうのに台無しだわお前」
「ごめん根深い人間不信がつい顔を出して」
「信じられない?おれはお前にひどいことしないよ」
「…うん、知ってる。おれも青雉さん、好き」

そしてゴールイン!

ただ単に女装男子に振り回される青雉さんを書きたかっただけなのに設定つけすぎてよくわからんことになってしまった。


2012/05/13

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -