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要件だけを話すサボくんと、相手に必要だろうと思う情報だけを与えてあとは自分の中だけで解決してしまう革命軍メンバーの話。
会えば挨拶はするけど一緒にいてもほぼ喋らない。必要だと思えば手助けはするけど決して干渉も詮索もしない二人は周囲から見ればさして仲良くなさそうだけど実はヤることヤってる仲。というかサボくんからしたら普通に恋人のつもり。

サボくんの普段の様子を見て『要件以外は関わらない方がいいんだろう』と判断した主人公は余計なこと一切喋らないし必要だと思わなければ手出しも口出しもしない。必要だと思うっていうのは主人公の自己判断だから、明らかに手を貸した方がいいような状況の時にも「サボなら大丈夫」という絶大な信頼のもと放置するので見殺しにするつもりなのかと思われることも多々ある。さらに話さなくてはいけない要件もまず結論から話し、なおかつ簡潔に終わらせるので周囲から見てれば『サボを嫌っているのでは』と思われるくらいのドライ対応。他の人たちには普通に世間話もするしお節介も焼くから一層サボに対するドライさが浮き彫りになる。
けど周囲が『なんでそんなに嫌いなのか』と聞いたら「別に嫌いじゃない。好きだから、嫌われないようにしてるだけ」とすんなり言って誤解をとく。実際サボがピンチの時には自分の命も顧みず助けに特攻するので、そのうち「あれがあいつらの付き合い方なんだな」と納得されて一件落着。
周囲同様、嫌われてるんじゃないかと思ってたサボ本人にも伝わって内心ホッと胸を撫で下ろすし以降主人公への態度がちょっと親密さを増すけど、主人公は相変わらずのドライ対応。でもサボくんが好きだからあえてこういう態度を取っている主人公にむしろ安心するので、どこか任務に行く時は「よし、行くぞ!」と当然のように主人公をお供に指名して連れ回すサボくん。どこに行くにも誰が他にいても飼い犬のように連れていく。
どうして、とは主人公は聞かない。「おれの態度が気に入ったんだろう」と自己完結するから。どうして、とはサボも説明しない。主人公が自分を好いてくれてることと一緒にいることが何より大事で、自分の気持ちを伝えることが必要だと思わないから。

長いこと一緒にいるうち息も合ってくるし、お互いが考えてることもなんとなくわかってくるようになる。周囲が聞いてても意味わからないほど要点しか伝え合わない会話をするくらい以心伝心なのに、以心伝心という自負があるからこそ必要なことも言うのを忘れてしまって少しずつずれていくのもわからない。

サボくんは主人公の「好き」が友人とか仲間に対するものではなくて色恋含んだものだと理解するし、主人公はサボくんがなぜか自分に執着してることを察する。けれどお互い不要なことはつつかないまま過ごしていたある日、革命軍の任務終わり。アジトに帰るまでの船の中でなんとなく二人きりになったまま無言で過ごしていたサボくんと主人公はなんとなく一線を超えてしまう。誘ったのはどちらかというとサボくん。始まったときも終わったときも二人共何も言わなかったけど、これをきっかけに触れ合うことは多くなった。
主人公が自分のことを好きだと知ってるサボくんは、告白すっとばして付き合っているつもり。
サボくんが自分に執着していると知ってる主人公は、首輪をつけて引き止めておくための行為だと思ってる。
つまりサボくんは恋人のつもり。主人公はセフレのつもり。お互いに好き合ってるのは理解してるけど、それがどういう意味で、どういう意図をもってどういう風に関係を築きたいのかを言わないので、一番重要な「好き」はわかっているけどそれにまつわる細かい感情は伝え合わないまますれ違い続けるので、そのうちどこかで破綻する。

人の話を聞かない男と、人の感情を決め付ける男の話。

2015/10/24

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