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携帯にまつわる話が好きです。浮気疑惑がかかってへし折られたり、気になる人からメール来てうきうきしたり、携帯故障して連絡が取れなくなったり。
メールとか電話とかじゃなく、携帯というツールが好き。ガラケーでもスマホでもどっちいい。遠い距離でも身近に出来て、それでもそれが無くなれば呆気ないくらい繋がりが途切れる。
というわけで携帯にまつわるあれこれのお話。全て現パロです。長い。


case01:深く考えない部下×クロコダイル
外回りの仕事が多いので、プライベートと仕事共用で使ってる携帯にGPS機能をつけろと社長直々に命令されてる主人公。
その代わり携帯料金は会社が出してくれるってラッキー!の精神で四六時中見張られてることは全く気にしてない。たまにクロコダイルさんが主人公の自宅近くで買い物とかしてると「どうせ暇だろう、飯でも恵んでやるから荷物持ちしろ」と呼び出される。基本インドア派だから休日も家にいることが多いけど、たまに出掛けた時に限って社長から電話掛かってきて強制休日出勤。やたらと呼び出しが多いけど、タダメシ食べれるし休日出勤の手当出るし、主人公は別に気にしない。深く考えない。
でもある日、他の外回り仲間はGPS付けてないことを知り、「何故おれだけ強制…?外回りだからって迷子にならないし寄り道してサボるわけでもないぞ…?そんなに信用ないのか…?」と悩む。悩むけど深く考えないので直球で社長に聞いちゃう。社長は適当に誤魔化す。主人公は深く考えないので誤魔化されちゃう。いつまで経ってもラブロマンスに発展しない二人。でも端から見たら完全に付き合ってますありがとうございます。


case02:硬派な会社員×レストラン勤めサンジ
普段はお互い忙しくてなかなか会えないけど、金曜日の夜にサンジのレストランでいつも夕飯を食べていく恋人。
ある日残業で帰るのが遅くなって、ラストオーダーには間に合わなかったんだけど、まあ知り合いだし閉店作業サンジがやればいいよってことで、半分電気も消えたホールのカウンターで黙々と洗い物してるサンジと黙々と飯食ってる主人公。「疲れてるのに悪いな」って言う主人公の方が疲れた顔してるから、サンジは普段なかなか二人きりで会えない分色々話したいこともあるんだけど「別に、お前が一週間に一度はおれの飯食わねェと調子出ねェって言うから」って素っ気なく答えちゃう。
他に客もスタッフもいないから恋人らしいことしたりしたいんだけど、真面目な気性の恋人は基本仕事場でイチャイチャしたりしないしさせない。サンジもサンジで仕事にプライド持って働いてるから基本は仕事場で不埒なことはしないんだけど、今は厨房にいるわけじゃないしそもそも二人きりって何か月ぶりだと思ってんだ澄ました顔しやがって浮気でもしてんじゃねェだろうなこの野郎!とサンジが一人で勝手に悶々としているうちに恋人は食事も終わって、お冷や飲んで、帰る前にちょっとお手洗い。サンジの目の前にはテーブルに無防備に置かれた携帯が。つい魔がさして、中身見ちゃう。
メールと通話履歴は仕事関連ばっかりだったけど、写真フォルダの中身が問題だった。彩り鮮やかなお弁当とか、サンジが作った記憶のない料理とか、そんなんばっかりがデータに入ってる。これは浮気だ、こいつ浮気相手に飯作ってもらって、あまつさえ写真に撮って保存してやがる!おれの飯は一度も写真保存したことないくせに!!
とぷんすこしてるところにトイレから戻ってきた主人公が涙目で自分の携帯握りしめてるとこ見て「あ」と声出して、それを皮切りにサンジの怒りが噴火。
「お前!なんだよこれ!どこの誰にこんな手の込んだ料理作ってもらったんだよ!!」
「いやそれ」
「しかもわざわざ写真まで撮って!そんなに美味かったってか!ふざけんなよカップ麺ばっか食ってたお前の舌が肥えたのはおれのおかげだろうがばーか!!」
「うん、だからそれはな」
「馬鹿にしやがって!その気になればおれにだって相手はいるんだからな!」
「なにそれ『三年目の浮気』の歌詞?」
「浮気はテメェだろうがァアア!」
「いや、だからそれは、お前に作ってもらおうと思ってたんだよ」
「…は?」
「レシピサイトで載ってたやつとか、仕事の付き合いで食べに行ったところの店とか、お前が作ったらもっと美味いんだろうなって思って、撮ってた」
「………お前、そんなこと一回も言ったことないじゃん」
「仕方ないだろ、お互い忙しいんだから」
「……そうだな」
「おれだって、休み合わせようとはしてる」
「…うん」
「今日、残業した分明日半休とったからさ、この後おれんち来ないかって誘おうと思ったんだけど」
「え、行く」
「その写真の中の、どれか作ってもらおうと思ってたんだけど」
「つ、作る!」
「……その前にサンジ、おれに何か言うことは?」
「……………勝手に携帯見てすいません」
「別に、やましいことはないから携帯は見てもいいんだけど」
「………………浮気疑ってすいません」
「ん、よろしい」
その後二人で24時間のスーパー寄って帰って「もういっそ一緒に暮らすか」という結論にいたりめでたしめでたし。


case03:同僚×ボルサリーノ
携帯を持たないボルサリーノにいつも貸してあげる同僚。買ったとしても家に忘れてくるんだからどうしようもない。借りるついでに通話履歴やメールフォルダを見て浮気チェックしていることは、クザンだけが知っている。


case04:隠れおたく×うまく問い詰められないエース
携帯に色々とアレなサイトをブックマークとかアレな画像保存とかアレなイラストを待受にしてる主人公。誰かに見られるわけにはいかないとロックもかけてる。エースは主人公が漫画とかアニメ好きなことは知ってるけど、自分が毎週ジャンプ買って読んでるような感覚と同じだと思ってる。
おれが美少女アニメのフィギュアとか集めたりエロ同人誌とか買いにコミケに行くこと知ったら流石に引くよなー、と主人公はエースに嫌われたくないがために隠してるんだけど、エースから見たらなんで携帯にロック掛けてるのかわからないし、操作してるときに覗き込んだらすごい早さで画面隠されてものすごく傷付いた。いつも明るくて喜怒哀楽激しくてカッとなったらすぐに手が出るエースくんは遠慮せずに言いたいこと言える性格だと思われてるけど、幼い頃あまり愛された記憶がないから愛に関してはものすごくコンプレックスがあって、主人公と付き合うにも主人公から告白してもらわなかったら多分一生想いは告げなかったくらい恋愛に関して臆病。
好きとか愛してるとか言ってもらえるし、それを嘘だと思ってるわけじゃないけど、エースの頭の中にはいつもあのロックが掛かった携帯がちらついてしまう。浮気かよとは冗談半分に聞いてはっきり否定されたけど、中身は見せてもらえなかった。エース自身は信用した奴=秘密を打ち明けてもいい奴なので、主人公が大好きな恋人だからこそ隠したい秘密というのがわからない。悶々として、ちょっとギスギスしたりして、ある日爆発したエースが主人公の携帯へし折って「あ゛ーっ!!」って主人公が叫んで、喧嘩して喚き合って、エースがずっと気にしてたこと主人公が知って、仕方なく秘密暴露した。
「そのくらいで嫌うわけないだろ!」
「ごめんエース、女の子のフィギュアとか集めてるキモオタとか引くかなと思ってて隠してた」
「まあ女の子のフィギュアとか、浮気だからへし折るけどな」
「オーマイゴッド…勘弁してよ相手は二次元ですよエースくん」
「おれがいるんだから!おれだけを可愛がれよ!」
「やばいおれの恋人が可愛すぎて二次元が霞む。これが噂のリア充か…爆発したくない」
その後は仲直りして携帯直しにいって、携帯壊したお詫びに主人公が好きなキャラにコスプレしてくれたエースくんの写メが待受になりました。どちらにせよ人様に見せられないのでロック掛かってるけど、暗証番号はエースくんの誕生日だよ。エースくんも知ってるよ。でもエースくんは恋人の携帯の中身は見ない。秘密を暴かれるのは嫌なことだと知っているので、見てもいいと言われたときしか見ない。ので、主人公はたまに見せてあげてる。理解はしてもらえないけど、容認されてる趣味。


case05:人の携帯は見ない派リーマン×恋人の携帯チェックは当然派ドフラミンゴ
同僚(女)と仕事上の付き合いで仲良くなって仕事帰りの成り行きで飯とか行ったらバレて怒られたでござる。しかもこいつ普通におれの携帯見てた。怖い。今まで気付かなかったけど多分会うたびに見られてた。しかも悪びれてない怖い。
いつもの笑顔がなくなって無表情で腕と足組んでるドフラミンゴの前で正座して同僚に電話させられて「おれ達ってどんな関係?」と聞かなければいけない羽目になった怖い。しかもスピーカーホンだから誤魔化しようがない怖い。多分色恋沙汰含んだ答え返ってきたらおれのチンコはもがれる。お願いだから告白の前ふりとか勘違いせず「ただの同僚でしょ」って鼻で笑って答えてくださいお願いします。


case06:女子力高い彼氏×絵文字を使わないたしぎ
オネエなわけではないけど、そこらの女子よりも女子力が高いたしぎの彼氏。自作のお弁当も彩り鮮やかで栄養バランスもよく、裁縫セットや絆創膏は常備してるし、休日は掃除と洗濯をして過ごすのが好きという、職場で嫁にしたい男子ナンバーワンの立場を確立してる。
携帯のメールも絵文字いっぱいで華やか。名前がなければ女子のメールと勘違いするほどかわいいメール。「見てるだけで楽しくなります」ってたしぎちゃんが言ったから三割増で絵文字足してる。色が多くてごちゃごちゃしてるからスモーカーさんが見たらイラッとするレベル。
そんな彼氏ちゃんに反して、たしぎちゃんのメールは電報並に味気ない。『明日16時駅前集合』とか『お疲れ様でした。ゆっくりおやすみください』とか、彼氏彼女というよりも仕事仲間に送るようなメール。絵文字の使い方がいまいちわかってない。
そんなある日、ぽつりと彼氏が「たしぎちゃんのメール、ちょっと寂しい」と言ったもんだから、その日からたしぎちゃんのメール絵文字修行が始まる。
文末に笑顔の絵文字がつくようになったら彼氏がすごい喜んでくれたから、ヒナさんに聞いて他の絵文字とかも使うようにしてる。携帯会社違うから表示されない絵文字とかもあるんだけど、そんなとこもかわいいなァって彼氏はでれでれしながらたしぎちゃんからのメールは全部保護してる。絵文字で悩むから返信遅いけど、その分おれのこと考えてくれてるから幸せ!
ただし色んな絵文字使うようになっても、ハートマークだけは恥ずかしくて使えない。そんなたしぎちゃんはぐうかわ。

case07:ワーカホリック×昼ドラのような精神的ダメージを与えてくるロー
仕事が忙しくて休日もろくにとれないし、休日とれたとしてもずっと寝てるか、持ち帰った仕事やってる主人公。別に本人はまったく苦痛に思ってないので、残業も休日出勤も平気で引き受けてくる。
あんまり会えないからって同棲を始めたのに、同棲したら会いに行かなくていい分、隣にいるだけで満足するようになった恋人に苛々してるローさん。でも外科医である自分も忙しいし、仕事が趣味なのは知ってるし、元々お互いおしゃべりな性格でもないし、むしろ家事はローよりしっかりやってくれてるから責めるのは我慢してた。
でも久しぶりの休日、珍しく「飯でも行くか」って誘ってくれて、しかも行く先がローがずっと昔に一度行ってみたいって言ってた高級レストランで、表情はクールにしたままだけど嬉しくてぽわぽわしてるのが隠しきれない。いつもより饒舌になっちゃって、それを主人公がにこにこしながら聞いてくれて、久々に夜はセックスできるかな、いやこいつも疲れてんだし、できなくてもいいかな、とか寛容になって幸せに浸ってたのは食事が始まる前まで。
ちょうど食事が運ばれてきて、食べようとしたところに恋人に仕事の電話がかかってきて、一度席を外す。それで少し気分落ちたんだけど、それだけならまだよかった。一度だけじゃなく、二度三度とかかってきたあげく、主人公じゃないと処理できないトラブルが起きてたらしく、「ごめんな」の一言だけで主人公はレストランにローを置いて仕事場に行ってしまった。ローは怒鳴らないし、表情も変わらない。主人公が置いてった金で美味い飯を食べて、一人で歩いて帰った。
それから翌日、主人公がようやくトラブル処理して帰ってきた頃には既に明け方。ローは寝てるし、今日は代休もらったし、少し寝て起きたらローを仕事に送るついでに昨日の埋め合わせの約束しようと思って主人公も枕元に携帯置いてローの隣で寝た。
ローが起きだす時間くらいに合わせてアラームかけてたはずなんだけど鳴らなくて、いつの間にか外は真っ暗。携帯はベッドの隙間にでも落ちたのか見当たらないし、壁掛け時計を見れば送るどころかむしろ迎える時間になってる。携帯はさておき、慌ててリビングに出てみれば、ローさんは既に帰ってきてて、キッチンで何か作ってた。
「ごめんロー、寝過ごした」
「別に構わねェよ、疲れてんだろ」
「昨日もお前には申し訳ないことしたし、埋め合わせしなきゃな」
「忙しいのに無理するこたァねェ。それよりお前、腹減ってんだろ」
「ああ、うん、減った」
「昨日もろくに食えなかったもんな」
「美味かったか?」
「ああ、めちゃくちゃ美味かった」
「そっか、よかった」
「味覚えてきたから、作ってみたんだけどよ、結構うまくできたぜ」
「すごい、ローは本当に器用だな」
「食えなかった分、食わせてやるよ。座れ」
怒ってないどころかやけに素直で優しいローにホッとして、主人公はダイニングテーブルに着席。ご飯食べたら携帯を探して、仕事場からメールきてないかチェックして、それから少しローを構ってやろう。そう決めた主人公の前に、よほどうまく出来てご機嫌なのか、うっすら笑ったローが、料理を盛り付けた皿を置く。
「ほら、食えよ。特別にお前の大好物も入れてやったんだぜ」
シンプルな白い深皿の中に、琥珀色のコンソメスープに浸されて柔らかくなるまで煮込んだ野菜と鶏肉。そしてその中央に鎮座するのは、大きな画面のタッチパネルとホワイトカラーのメタルボディ。
仕事の情報や連絡先が入った主人公のスマートフォンが、ほかほかと美味しそうな湯気を立ててスープの中に沈んでいた。

2014/05/16

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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