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サカズキ怒らせようぜ!はオチまで考えてあるのですが、現状と180度関係性が変わる上に書き出してみたら長すぎて連載にする気が失せたのでざっくり切ってまとめてこっちに投下。本編は特にオチをつけず、コンスタントにサカズキさん怒らせて楽しんでたまにいちゃいちゃする程度にしていきたいと思います。


サカズキ怒らせようぜ!の主人公は最終的にまともになるオチです。
白ひげとの戦争や青キジと赤犬の喧嘩騒動を経たある日、突然「なんかもういっかなって思った」とか言いながら辞表届出してきた主人公。いつもの悪ふざけだろうと思ってサカズキに辞表届マグマグされたけど、冷静にもう一枚辞表届出して「本気だよ」って言うので周囲も「あれ?」ってなる。

実は主人公、サカズキが白ひげに向かっていって大怪我したり、青キジと命がけで喧嘩した時に「こいつもいつかおれの手も届かないようなところで死ぬんだな」と今さらながらに実感して怖くなった。しかも笑えんくらい怖かった。
無意識にサカズキは死なないもんだと思いこんでたけど、そーいやこいつ人間だったわ。殺したら死ぬわ。と気付いた。
サカズキが死ぬことを想像したらめちゃくちゃ怖くなった主人公は、その後どんだけ強い海賊に向かっていっても全然楽しくなくなってしまった。だって自分が死ぬよりサカズキが死ぬ方が怖いって気付いちゃったんだもん。しかもそれは楽しくないスリルだからサカズキ殺そうとも思えない。遠征行ってもサカズキからかっても笑えなくなった主人公は、「なんかもう海軍いる意味ないなあ」と思って辞表届出した。
周囲は最近なんとなく主人公の様子がおかしいことには気付いてたけど、また何か企んでるか、さすがに疲れてるんだろうと思ってあまり気にしなかった。というか戦争の後始末と大規模な人事改革で忙しくて気にする余裕もなかった。

主人公は明確な理由を言わない。隠してるわけじゃなくて、別に理解されなくても構わないから詳細を省いてるだけ。「つまんなくなったから、海軍にいる意味なくなったんだよ」としか言わないから、サカズキに殴られ(避けた)ボルサリーノに蹴られ(ガードした)センゴクさんにも怒られ(聞き流した)、海軍トップにめちゃくちゃ責められてかなりのスリルだろうに全然主人公は笑いもせず「ごめんな」っていうだけだから、すごいもやっとする。
燃え尽き症候群的な状態なのかと医者に連れて行かれたけど特に精神に異常は見られない。むしろ正常の感覚に戻ったように見えるので、良かったといえば良かった。

とはいえ海軍は今ネコの手も借りたいくらい繁忙の真っ只中。性格はアレだけど、実力は申し分ない主人公に辞められるととても困る。新元帥のサカズキさんにより海軍本部が立て直すまで辞職は保留にされた。主人公も「まあ今まで散々楽しませてもらったしなー」とサカズキさんのためにお仕事続けるよ。

そのあとは淡々と海賊引っ捕らえて監獄送りにする毎日。サカズキさん怒らせるために培ってきたトラップの知識とか鍛えてきた肉体を持ってすれば大抵の海賊なんか朝飯前なのです。からかうこともなく楽しむこともなく単純作業のように黙々と悪人を拿捕していく主人公の姿は、一般市民からすればクールで頼りがいのある将校さんだけど、以前の主人公を知ってる海兵から見たらもはや廃人に近い。笑わない上に食事も睡眠も最低限しかとらない。酒も煙草もやらないし、恋人のはずのサカズキさんとは仕事でしか会わない上に仕事の話しかしない。娯楽も休息も必要としない主人公に周囲は心配してあれこれ世話をやいたり心配したり叱り付けたりするんだけど、当の本人は「なんで真面目に仕事してんのに前より怒られてんの。解せぬ」とヘソ曲げるだけ。ライフスタイル変えるつもりはない。なぜなら周囲が気付かなかっただけで主人公はずっと変わらない生活してるから。
スリル味わうためにあれこれ画策したり強い人からかってげらげら笑ったり、いつも楽しそうだから快楽的な人だと思われてたけど、実際はスリル以外に何の興味もない人だから、スリル狂いという特性を無くした途端に普通の人間になってしまって、普通の人間ならあって当然の三大欲求がないということが異様に見えるようになっただけ。最初からそういう人なら「ストイックな男だなあ」と尊敬の対象にもなれただろうけど、主人公の場合50歳過ぎても頭おかしくて、急に落ち着いてしまったので落差が激し過ぎて戸惑うレベル。実際、以前から比べるとかなりやつれて顔色も悪い。前は体が限界でも楽しみがあったから満たされてたけど、今は何も楽しみがないからただ体力消費してるだけ。でも気にせず討伐に行くので、倒れる時は多分死ぬ時。周りが止めても「じゃあ海軍辞めていい?」と言われるとそうもいかない厳しい人手不足。
機械みたいに海賊捕まえに行って本部に報告してまた海賊捕まえに行って、と繰り返してるうちにようやく新元帥体制の海軍も落ち着いてきて、「じゃあそろそろ辞めっか」みたいな雰囲気醸し出してきた主人公に、ボルサリーノさんからとりあえず休暇の提案。

「とりあえず除籍はしないでェ、ゆっくり休んだらどうだァい?物足りなくなってまた戻ってきたくなるかもしれないだろォ〜?」
「休むっつってもなあ、緊急時の呼び出しには帰ってこなきゃならないならそう遠出も出来ないじゃねェか」
「遠出?旅行でもしたいのかァ〜い?」
「いや別に。今まったく人生が面白くないから、新しい趣味でも探そうと思って」
「家で出来る趣味にするといいよォ〜」
「おれ家ねェよ」
「えっ」
「えっ?」

主人公、本部近くに住んでいたので戦争の時に家は壊されてる。とはいえほとんど帰ることもなかったので気にすることなくホームレスのままだった。遠征中は船の中、本部に居るときは仮眠室。シャワーも適当なところで済ませて、服は洗濯することなく汚くなったら捨てて新しいの買う。
あまりの頓着のなさに「こいつダメだなんとかしないと…」と思った周囲が主人公をサカズキさんの家に放り込んだ。主人公の扱いに困るとサカズキさんに押し付けるのはわりと通例なのでサカズキさんは可哀想。

とりあえず一週間休みをもらった主人公は、サカズキさんのお家でサカズキさんの帰りを待つ毎日。暇だしサカズキを見ても怒らせようとは思わないし、このままだとボケるなァと思ったので家事に走ってみた。

「サカちゃんサカちゃん、暇だったからメシ作ってみた」
「…………そうか」
「どう?まずい?まずい?」
「……………悪かない」
「そっかー」

「サカちゃんサカちゃん、タオルがゴワゴワだったから洗剤変えて柔軟剤使ってみた」
「…………そうか」
「どう?硬い方が好き?硬い方が好き?」
「……………悪かない」
「そっかー」

「サカちゃんサカちゃん、資料が雑多になってたからまとめてファイリングしてみた」
「…………そうか」
「どう?見づらい?見づらい?」
「……………悪かない」
「そっかー」

という感じで一週間過ごしてたら家事マスターした。元々主人公は天才肌な上に完璧主義で目的のためには努力を惜しまない人。今まではそれがスリルを味わうという自分のためにしか利用されなかったからすごく無駄な才能だったけど、最近まともな方向に使われ始めたので、仕事OK、家事OK、性格OKの単なるハイスペック彼氏になってしまった。むしろストイックなくらいだし、居候だからかサカズキさん中心の生活してるのでこれで女だったら完璧にサカズキさん好みのタイプ。でも主人公は主人公なので素直にきゅんきゅんするのは口惜しい。でもこの主人公は知らん主人公…誰だこいつ…と悶々としてる。
そんな悶々としてるサカズキを知りながらも知らんぷりして、主人公は一週間の休みを終えてまた遠征へ。主人公が居るときは何か悪さしでかすんじゃないかと毎日帰ってたけど、その必要もなくなって本部に泊まることも多くなったサカズキさん。休みの日はさすがに帰るけど、人の気配がない家で大して美味くもないメシ食べてゴワゴワのタオル使って風呂入って持ち帰った仕事の資料から必要なもの探すのに手間取ってたら段々イライラしてきちゃう。そして遠征から帰ってきて本部に泊まろうとしてた主人公を捕まえて拉致。

「な、なにごとォ…」
「メシ作れ」
「あ、うん?腹減ってたの?」
「明日は洗濯もせぇ」
「あーやっぱりふわふわなタオルがよかった?お前石鹸で洗濯すっからゴワゴワになんだよ」
「掃除と、この資料もまとめとけ」
「いいけど…掃除するほど散らかってないし、お前秘書官いるだろ?資料の整理くらいさせろよ」
「…お前がやるんが一番見やすい」
「ありゃま、珍しいね褒めてくれんの」
「………お前の衣食住はわしが確保しちゃる」
「…ん?」
「お前はマリンフォードにいる時は、ここにいてわしの世話をせェ」
「…………」
「……なんじゃァその顔は」
「…サカズキ、お前それどういう意味になるかわかる?」
「………わかっちょるわ」
「一緒に住んで、ご飯作って掃除洗濯して、仕事も手伝ってって?おれのことメイドにしたいの?」
「………違うわバカタレ」
「あっそう、じゃあそれってさァ、…プロポーズってんじゃないの」
「…………やかましい」
「…否定しないんだな。正気?」
「…わしとお前は恋仲じゃろうが。なにがおかしい」
「おかしくないよ。ただ、馬鹿だなァ、って思うだけだ」

主人公は、自分が嫌われるタイプの人間だってわかってる。今まで散々人が嫌がることを繰り返してきて、ましてやそれを娯楽にしてた。自分の楽しみのために他人の矜恃を踏みにじって危害を加えて笑いものにして、一般市民には興味がないってだけでやってることは海賊の気性に近い行為。サカズキが一番嫌う人種で、殺意を持って当然なのに、サカズキは長い時間をかけたせいで慣れてしまった。ちょっとまともになった程度で今までの異常性からの落差に騙されてとても良い人間のように勘違いしている。
本当はサカズキは普通に大人しい女性とでも結婚して普通に子供作って普通に老いることも出来たはずなのに、偶然出会った頭がおかしい人間に目を付けられたせいでいらん苦労した挙句に絆されて人生踏み外した。
こいつ可哀想だなァ、頭おかしいおれのせいで頭おかしくなって、おれなんかのこと好きになっちゃったんだなァ、と思いながらもサカズキさんと一緒に暮らし始める主人公。スリル狂いはなくなったけど、実は一週間居候してる間に『サカズキを甘やかす』という新たな生き甲斐を密かに見つけていたので願ったり叶ったり。だからこそ余計サカズキさんを可哀想に思う。放っておけば付き合ってたことも自然消滅して、全部なかったことにも出来たのにな、って。
最後まで主人公は「おれは幸せだけどサカズキって可哀想」と思いながら付き合ってるけど、正直サカズキさんに気安く話しかけるのも遠慮なく触れるのも過激な性格を理解して受け入れているのも主人公ぐらいなのでサカズキさんから見ても周囲から見ても主人公は一番恋人に相応しい人。ただそこに至るまでの動機が「サカズキを怒らせたい」という悪意の塊だからいけなかった。まともになってからは世間一般でいう理想の恋人に近いのでサカズキさんが羨ましがられることも多くなったんだけど、サカズキさんも主人公も他人の評価なんて気にしないのでそれはどうでもいいこと。
主人公は「サカズキはおれの運命の人。死ぬまで一生愛してるよ」とか恥ずかしげもなく言ってサカズキさんを大噴火させるくせに、一生サカズキさんを哀れんで、自分がスリル好きじゃなくなった理由も話さない。伝える必要がないと思ってる。サカズキさんが運命の人だと思うけど、サカズキさんにとっては自分は運命の人ではないと思ってる。サカズキさんの運命をねじ曲げて、自分だけ幸せになってるつもり。勿論それも話さない。主人公は惜しみなく愛を注ぐくせに、大事な部分が惜しい人。話せばサカズキさんはちゃんと否定してくれるのにね。しかし否定したところで信じないっていう変な頑固もあるので結局思い込みは死ぬまで続く。

ちなみにサカズキさんは怒って噴火することはなくなった代わりに、照れて噴火することが多くなった。呼吸するように主人公が愛を囁くもんで!慣れるまでが!大変!
でもサカズキさんは主人公に慣らされることなんか昔から嫌がらせされて怒って怒るのも馬鹿らしくなって許容してたせいで慣れてるので問題はないよ。問題はボルサリーノさんを初めとした周囲がラブラブなオーラにあてられて吐き気を催すくらいだよ。

2013/12/29

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