好きです、とか、愛してます、とか、そういうことを言おうとしてたんだ。でも最初から核心に迫るのはちょっと恥ずかしかったから、カリファは美人でスタイルがよくてしっかり者なのに少しおっちょこちょいなところがすごくかわいい、と常日頃から思っていたことを内心かなりドキドキしながら告げていたら、
「セクハラだわ」
と言って指銃が喉にズガン。なにこれ超痛い声出せない。
「…………」
「……そんな目で見ないで頂戴」
手が滑ったのよ。
本当に困ったように頬へ手を当てておれから目を逸らしたカリファは本当におっちょこちょいでかわいい。指銃が使えなければもっとかわいかったけれど、強いカリファは美しく輝いていて、そもそもCP9でなければ出会えることもなかったのだからこの際喉の痛みには目をつぶろう。穴が開かなかっただけマシだと思おう。この程度ならきっと少し時間が立てば痛みも落ち着くはずだ。
「…あなたが、変なことを言い出すから…」
セクハラのつもりじゃなかったんだよ、気分を悪くしたならごめんね、と目で訴える。けれどもカリファはおれから目を逸らしてしまっているから通じないまま、嫌な沈黙が降りた。どうにか弁解したいけど声は出ないし、手を引いたり肩を叩いたり、体に触ったらそれこそセクハラになってしまう。どうしよう、とりあえずこっちを向いて、カリファ。
「…そんなこと言われても、不愉快だわ」
辛辣だなぁ、おれも結構言葉を選んでたつもりなんだけど。
「あなた、誰にでもそんなことを言っていたら、そのうち刺されても知らないわよ」
カリファにしか言わないよ。おれはカリファ以上にかわいい人を知らないもの。それに、もう刺されたよ、喉。
こんなことなら、初めから好きだと言っておけば良かったかな。こんなんじゃどんなに言い訳したくても出来やしない。ぱくぱくと金魚みたいに口を動かすおれを、カリファがようやく見てくれた。
ほ、ん、き、だ、よ。
唇の動きで伝えた言葉に、カリファの頬がじわじわと赤く染まっていく。なんてかわいい。好きだよカリファ。抱き締めたいな。
「…本気じゃなかったら、許さないわ」
小さな声で恥ずかしそうにカリファが言うから、おれは思わず彼女を抱き締めた。セクハラだって喚く声が聞こえるけど、照れ隠しだって解ってるから離してやらないんだ。
もしもきみ以外に甘い言葉を吐くようなら、今度こそきみの手でおれの喉を潰してね!
2012/11/04