※現パロ



転入してから一週間。未だに教室の場所が分からず一人長い長い廊下を歩いていた。


「どうしよう、全然教室の場所分かんないよ。ってかこの学校広すぎだよ」


さっきからこの廊下には生徒が一人も見当たらない。もしかして知らぬ間に特別教室の校舎に迷い込んでしまったのだろうか?とにかくこのままでは授業に遅れてしまう、そう思い元来た道を引き返そうとしたら誰かに呼び止められた。


「おい、何してんだ」
「あ」


見たことのある顔に思わず気の抜けた声が出た。この人、同じクラスの食満くんだ。


「お前確か…転校生だっけか?」
「は、はい」
「あー悪い。いきなり大声出しちまって」
「いえ、大丈夫です。それよりここどこですか?さっきから生徒一人見かけないんです」
「それはこの校舎が旧校舎だからだよ。古いから崩れやすくてな、普段は立ち入り禁止のはずなんだが…」
「すいません、入っちゃいました」
「いや、俺も立ち入り禁止の札邪魔くさくって外しちまったからな。お前が誤る必要はねぇよ」


意外だった。食満くんがそんな事を言う人だったなんて。なんかもっと怖い人かと思ってたけど、本当はすごく優しい人だったんだね。


「でも、そんな危ない校舎にどうして食満くんが?」
「俺用具委員だから。校舎の修復作業してたんだ」
「へぇーすごいね」
「一応伝統ある校舎は大切にしないといけないからな」


話していくうちに食満くんの事がだんだん分かってなんだか嬉しくなった。多分これを一般的には恋と呼ぶんだろうな。あれ、そう言えば何か忘れてるような…。直後、キンコーンカンコーンと学校全体にチャイムが響き渡った。これは授業五分前の予鈴だ。


「ヤバい、授業の事すっかり忘れてた…」
「次の授業って確か科学だっけか?」
「うん。でも五分じゃ実験室まで間に合わないよ…」
「いや、走れば何とかなる!行くぞ!」
「えっ」


右手を掴まれると勢い良く走り出した食満くん。繋がれた右手が物凄く熱い。心臓もドキドキいってる。神様、この手を五分だけではなくもう少し繋がせて下さい。私はもっと彼の傍に居たいのです。


予鈴

(それは貴方に恋をした合図)



091013.
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