「喜八郎の彼女は喜八郎が穴掘りに夢中で構わなくてもちゃんと着いて来てくれるそうだ」
「へぇー」
「得に我が儘も言わんらしい」
「ふーん」
「おい名前。貴様ちゃんと聞いているのか?」
「聞いてるよ」
「だったら私の言いたい事ぐらい分かるだろう」
「要するに綾部の彼女に惚れたんじゃないの?」
「馬鹿か貴様は。私には名前が居るだろうが」
「じゃあ何よ」
「だからな、」


さっきから何を言いたいんだかさっぱり分からない滝。急に綾部の彼女の話をしたと思ったら急に意味の分からない事を言い出すし、何なんだ一体。


「つまり、私達もそのような関係になってみないかと言っているのだ」
「それって私が文句一つ言わずに滝の後に着いて行けと?」
「そうだ」
「ふざけんな」


ただでさえ誰もが嫌がる滝の長々しい自慢話に文句言わず付き合ってあげてるってのにさ、それ以上を要求しますかこの馬鹿は。第一そんな関係やってたら何のために付き合ってるのか分からない。


「滝が私にそれを求めるのなら別れる」
「な、何を言っているんだ!?」
「それはこっちの台詞よ、そんなに性格の良い彼女が欲しいなら作ればいいじゃないの。私は別れても構わないんだから」


勢い余って心にも無いことを言った。元はといえば滝が変な事を言い出すのがいけないんだ。私は全然悪くない。


「話を聞いてくれ名前。これはなんというかその、」
「何よ」
「男のロマン、というものが私にもあってな。綾部の話を気いたら羨ましくなったんだ」
「あんなのがいいの?」
「いや、初めはそう思っていたのだがやはり私には名前みたいにきちんと思ってる事を言ってくれる方が良いみたいだ」
「そりゃそうだ」
「だから別れるなんて言わないでくれ」
「うん、分かった。ごめん」
「私も変なことを言ってすまなかったな」


滝は優しく私を抱き寄せて触れるだけの接物をくれた。男のロマンなんて私にはちっとも分からないけど、私は私のやり方で滝を愛していくよ。


ロマン


090915.
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