平和な昼休み。何をしようかと校庭をぶらついていたらいきなり手裏剣が飛んできて地面に突き刺さった。誰だ、こんな下手っぴな手裏剣の投げ方をしたヤツは。ふと手裏剣が飛んできた方向に目をやるとそこには真っ赤な林檎がなってる木と一人の生徒。あ、あの子確か用具委員会の子だ。


「何してるの?」


好奇心でその子に話しかけてみた。もちろん喋ったのはこれが初めて。


「えっと、名前先輩…でしたっけ?」
「あ、私の事知ってたんだ」
「はい、その…食満先輩とよく一緒に居たので」
「あぁ、確かに言われてみればそうだったかもね。で、何をしていたの?えっと…」
「三年ろ組の富松作兵衛です」
「そうそう、作兵衛くん」
「実はあの林檎を取りたいんですけど、高くて手が届かないんですよ。それで手裏剣が上手く当たれば取れるかなーって思ったんですけど」
「結局取れなかったと」
「はい…」
「じゃあ、私が取ってあげるよ」
「え、いいんですか?」
「うん、いいよー」


私は懐から手裏剣を取り出すと枝と林檎の境目を狙って投げた。手裏剣は標的に見事当たり林檎はそのまま落下して私の手の中に収まった。


「はい、どうぞ」
「うわぁ、流石ですね先輩!」
「伊達に六年間も忍術を習ってないよ。それにしても…」
「はい?」
「作兵衛くんって可愛いよね」
「…っ!かかかか可愛い!?!?」
「あはは、顔が真っ赤!林檎みたーい」
「ちょ、もう!からかわないでくださいよ先輩っ!」
「まぁ、そう怒らずに」
「怒りますよっ!だって俺は先輩のことっ…!」
「私が何?」
「うっ…いや、何でもないです…。えっと、とにかくか、可愛いなんて言うのは止めてください」
「ふふっ作兵衛くん、本当に林檎みたいだね」


私がそう笑うと彼の顔はますます真っ赤になるのでした。



林檎


090803.
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