※室町→現パロ



何度も繰り返される戦。そのたびに流れる真っ赤な血。山のように積み重なる死体。そんな時代の中で僕は生きていた。今やあの平和だった忍術学園でさえ戦に巻き込まれ焼け野原となったこの時代に。戦はどんどん酷くなる一方で今はもう僕と名前しか生き残ってはいない。滝夜叉丸も三木ヱ門もタカ丸も同士や先輩、後輩も皆死んでいった。嗚呼、大切なモノを失ってまで戦う必要がどこにあるというのだろう?僕は酷くこの時代を恨んだ。そして考えたのだ。この時代ではない平和な未来に生きよう、と。戦も無い、武者や忍者も居ないそんな時代に生きようと僕は考えた。


「綾部、私も一緒に平和な未来に連れていってよ」


にこりと名前は笑って言った。そして互いに苦無を手に取ると首へと掲げた。


「眠ろう、時代と共に。そして未来に生きよう」


言葉と共に苦無は首を斬りつけ、同時に鮮やかな血が弾けた。














目が覚めるとオレンジ一色に染まった教室に居た。昼休みに落とし穴の研究をしたのがいけなかったのか、疲れて眠っていたみたいだ。体を起こしてふぁっと大きな欠伸を一つ。ふと、気がつくと目の前にはとっても不機嫌そうな名前の姿があった。


「あら、名前おはよう」
「綾部君、今夕方ですけど?」
「おやまぁ」
「おやまぁじゃねぇよ、自分から一緒に帰ろうなんて言っておいて何のうのうと寝てんだ」


叩いても抓っても起きないなんて!とか呆れ顔で言う名前。けど、文句を言いつつもちゃんと待っていてくれる名前の優しさが僕は好き。


「そーいえば夢見た」
「夢?」
「戦の中で僕と名前に似た人が未来に生きよう、って約束して死んでいった夢」
「なんだそりゃ」
「さぁ?僕にも分からない」
「あっそ。ってか早く帰ろうよ!もう下校時間過ぎちゃってるんだから!」
「ちょっと待って、落とし穴の様子見に行きたいんだ」
「また落とし穴?それならさっき善法寺先輩が落ちてたから見に行かなくても平気だよ」
「おやまぁ、またあの人ですか」
「あの人は不運だからね」


だから早く帰ろ!そう言いながら名前は鞄を持って僕の手を引く。なぜか頬が緩んだ。どうしてだろう、凄く嬉しい。夕陽がいっぱい差し込む廊下を二人で駆けた。嗚呼、僕は今とても幸せです。


未来


(僕らは平和な日々を手に入れました)


090726.
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