吹雪とヒロト
夜に吹雪がヒロトの部屋を訪ねるのはしばしばあることだ。 今日もいつものようにベッドに腰かけて二人で寄り添っていた。 「…ヒロトくん」 「なんだい」 「僕、会いたい子がいるんだ。ヒロトくんが知ってる子。名前はもう思い出せないんだけど」 「俺が知ってる子?」 吹雪はなにも言わずにただ頷いてばらばらと話し出した。 「沖縄で会ったんだ」 「ヒロトくんみたいに赤い髪の毛でアツヤみたいに黄色い目をしてた」
「すごくアツヤみたいだったんだ目の色も、性格も。きっとアツヤが生きてたらあんな風なんだろうなって」 ヒロトは赤い髪の毛、黄色い目…知っている中では"南雲晴矢"しか出てこなかった。 「吹雪くん、たぶんその子"南雲晴矢"だと思うよ」 「…はるや」 微笑みながら吹雪は聞き返してから 「アツヤに名前もそっくりだね」と言った。 しばらくして吹雪が「アツヤに早く会いたいなあ…」と呟いた。 晴矢は代わりになんてならないよ、なんてヒロトは思ったが心にしまっておいた。
20121008/10:53
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