めも2 | ナノ






輝と鬼道

幼いながらテレビのなかで揺れる赤いマントに目を惹かれたことはうっすらと覚えている。

それから数年後、引っ越しの準備のを家族でしていたときだった。まだ小学の自分は小物などを段ボール箱にしまっていると一枚の少し色褪せた写真が出てきた。どこかでみたような、と記憶をさかのぼって分かったのはこの写真に
写っているのはあのときのマントの少年だった。
なぜテレビの中の少年のブロマイドではなく写真が家にあるのだろうと両親にそれを見せて聞いてみた。
一瞬だけ気まずそうな顔をしたような気がしたけど作業をしながら「鬼道くんの写真なんてうちにあったのねー」「それよりも輝、準備は終わったのか」と答えになってない答えを返されてしまった。輝はお母さんの発言からこの写真の少年の名が鬼道ということ以外はわからなかった。

それ以来、小学6年になり中学進学の話題が親たちで話される頃までは。鬼道という少年について聞くことはなかった。

たまたま深夜に用を足そうと寝ぼけなまこでリビングわきの廊下を歩いていたときに両親が話しているのを聞いた。
「輝には帝国学園に…」「でも…鬼道くんがね…叔父こともあるし雷門でも」
どの中学に進学させるか話しているのだろうと気に求めずにいた。でもどうして影山おじさんと鬼道という人が出てくるんだろうと思った。

20121012/15:53


mae :: tsugi