すべて傲慢な欲心だよ | ナノ




あの身体を舐めまわしたい。自分だけのモノにしたい。
他のひとに触れさせない、見せない、存在しないようにしたい。
あれは、俺のなんだから。

「いーざーやー!!手前は、池袋には二度と来んなって言わなかったけか?」
ああ、怒っている静ちゃんも素敵だ。
それでも、外野が邪魔だと思うんだよね。
俺以外にみられている静ちゃんとかを想像するだけで、腹が立つ。
大好きな大好きな人間がこれでもかってくらい今は、どうでもよくなっている。
俺を愛するやつなんか居ないのは自分でも理解している。
それでも、静ちゃんだけは近くにいてくれた。
一定の距離を保とうと思っても、すぐ踏み越えてきて近くにいてくれた。
そんな、静ちゃんに俺は、愛を注ぐよ。
全ての、俺の全身全霊の愛、をね。
お礼はいらないよ、その変わりといってはなんだけど、静ちゃんの心を俺にくれればいいから。
静ちゃんの身体を…心を
全てが俺のものになれさえすれば良いんだからさ。
こんなことを静ちゃんに言ったら引かれるかな。
もう、傍に居てくれなくなるかな。
実際、俺は人間以外愛せない筈だし、静ちゃんのことは本当に嫌いだ。さっき言ったことと矛盾になるだろうけどね。
それでも、俺に愛をくれる人間を…例え化物だとしても愛したいと思うのは、人間の性だと思うんだよね、俺は。
だからさ、俺に愛する価値はあるでしょ、静ちゃん。
静ちゃんは、愛されたがっている、だから俺が愛してあげるよ。
キスも贈る、身体を好きなだけ弄んであげる。
大丈夫、毎日練習済みだから。俺は、昔から予習はする人なんだよね。
だからさ、早く

こっち向いてよ
静ちゃん。愛してあげるから。
心から愛してあげるから。
罪歌に惑わされた静ちゃんなら俺からの愛も全て受け入れてくれるでしょ?
知ってるんだよ。
どんなにされても良い、愛してほしいと。
全力を出したい、と。

「臨、也?今日、手前いつにも増して気持ち悪い顔してんぞ?」

あー、心から心配してくれている顔だね、本当可愛い。
愛したい、壊したい、殺したい。
もっと、俺の中でぐちょぐちょになってほしい。
俺の脳内での静ちゃんみたいにさ、俺の下であんあん喘いでくれるのかな。
淫乱なのかな、遅漏、それとも早漏なのかな?
まあ、なんでもいいよ。全て愛してあげるから。
ほら、今日から始まるよ。静ちゃんの新しい人生が。

「それよりさ、静ちゃん。今夜、俺の家
来てよ。」

魔女がお菓子に釣られてきた子供を惑わすように、必ず来させるかのように。

「待ってるからね、愛してるよ静ちゃん…」
呆けた顔をしながら何を言えず棒立ちになっている静ちゃん。
全てが今日
俺のものになる。
なんて、楽しいことなのだろうか。
全てが手に入る俺が、まだ望むことがある。
人間全体が俺を心から愛すようになること。
欲望が高い人間は、神に見放されるよとか小さいころ言われた気がする。
そんなのは、心配ないよ。静ちゃんは俺の神だから。
たぶん、飽きたら殺してしまう静ちゃんを引きずって俺は残りの人生を生きるから。
君が、俺の神だ。見放しはしないだろ?
それなら、安心だ。
傲慢?…ありがとう俺の好きな言葉だよ。
欲望に勝てる人間なんて存在しないんだからさ、


すべて傲慢な欲心だよ



(100325)
written by 無垢





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -