私の家は父と母が経営する小さなケーキ屋で、幼い頃から二人がケーキを作るのを見たり手伝ったりして、いつしか私は父と母の様なパティシェになることが夢になっていた。時は流れて、だけど夢は変わらないまま。今は製菓の専門学校に通いつつ、家の手伝いをしたりして着々と夢に近づくため努力をしている。大好きなケーキやお菓子に囲まれて過ごす毎日はとても幸せだ。ショートケーキにクリームブリュレ、モンブランにフルーツタルト、チーズケーキにミルフィーユ!どれも可愛くて美味しそう。作るのはもちろん大好きだけど、食べるのも私は大好きなのです。


「静雄くんってケーキ好きなんだよね?」


「…基本甘いものは好きっすね。」


最近アルバイトで入った平和島静雄くんは高校生で、ちょっと怖そうな見た目にも関わらず、甘いものには目がないらしい。最初は金髪!?と思ったけれど今では慣れたものだ。静雄くんはとても真面目に働いてくれると父と母も嬉しそうだった。ただ、人間では考えられない怪力をもっているためバイト中はケーキに触れさせることは絶対ない。


「目の前にケーキがあるのに食べれないのって辛いね。」


「……っすね。」


そして現在私たちは仕事中で、ケーキが並ぶカウンターの前に二人で立っている。お客さんがいないからついケーキにばかり目がいっていしまい、駄目だ駄目だ!と思って静雄くんを見ると、キラキラ輝いた目で彼もケーキに集中していた。まるで小さい子みたいだなぁ。いや実際私よりも年下だけど。そんなことを考えていると静雄くんが視線に気付いたみたいで、少し照れたように頬を掻いていた。それから先程の会話になった、というわけである。


「あのチーズケーキすごい好きなんだよね…。でもミルフィーユも好きだし…。」


「甘さがチーズの甘さって感じっすよね。俺はチョコレートのやつも好きですけど…。」


そんな会話をしながら休憩時間に、2人でシュークリームを食べました。





シュークリーム




(20100627)
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