「臨也くん。」
「なーに?」
「そろそろ離して欲しいんだけど…」
「いやだ。」
久しぶりに名前とふたりきりの時間ができた。最近サイケに負けっぱなしだったから、名前に触れるのも久しぶりだ。今までの埋め合わせをするように、俺は名前を自分の膝の間に座らせて抱きしめている。ふわふわ柔らかくて名前を抱きしめてると仕事の疲れもストレスも忘れてしまいそうだ。やっぱり好きだからかなぁ、なんてね。
「臨也くんのそういう所嫌い。」
「えっ。」
「こうゆうのは恋人にしかしないのに…」
「…じゃあさ、」
名前の肩を掴んで、こっちを向かせる。…考えてみれば今は絶好のチャンスだ。邪魔者はいない。たった一言、俺の恋人になってよ。と言うだけ。一言だけど、どうしてそれが言えないんだ折原臨也。俺らしくないだろこんなの!
「臨也くん?」
「……お、れの」
うわ、喉カラカラだ。でもこの調子だ続けろ!恋人になってください、だ。しっかりしろ頑張れ折原臨也。
「…名前。」
「?」
「俺の、こい」
「臨也くん名前ちゃんたっだいまー!!!!」
バァン!とリビングの扉が開いてサイケが入ってきた。え、なにこの素晴らしいタイミング。「サイケくんお帰りー!」待って名前、俺まだ言い終わってないよ!!俺の腕の中にいた名前は今ではサイケの腕の中。しかも俺には名前から抱き着くなんて、絶対ないのに今名前からサイケに抱き着い、た?え、え、なにこれ。
「臨也くんもただいまー!ぎゅうー!」
「サイケ…!!」
「…もしかして俺、邪魔しちゃったかな?」
「!! やっぱりわざとっ……!!」
一発殴ってやろうかと思ったら名前のところに逃げられて、手も足も出せなくなった。サイケの勝ち誇った様な笑顔がムカつく。もう少しだったのに…また負けた。
ぼくらに愛される君
「名前ちゃん、なんか顔赤いけど…」
「……何でもないよっ!」
(もうちょっとだったね臨也くん。)