今日は臨也くんと久しぶりのデート!「お洒落してきてね」なんて言うものだから洋服選びにはとっても悩んでしまった。まるで付き合ったばかりの頃の様でなんだか懐かしい気分に浸りながらメイクをしていく。スパンコールが散りばめられた裾が可愛いレースになっているワンピースに、髪型はいつも結んでいる髪を久しぶりに下ろしてゆるめに巻いてみた。普段はあまりしないけどマスカラをまつ毛に塗って、ラズベリー色のグロスを唇につける。ちょっとはりきりすぎ?とも思ったけど、久しぶりのデートなんだもん。嬉しいし、臨也くんに少しでも似合う女の子になりたい。仕上げに、臨也くんから付き合い始めて最初にもらったプレゼントのネックレスをつけた。これをもらったころはまだ高校生だったっけ。あれから何年もつけど、このネックレスは今でも大切な宝物だ。もらった時は嬉しくって泣いちゃって臨也くんは少し慌ててたけど、優しく頭を撫でてくれて、初めてのキスをした。思い出すと恥ずかしくって、顔が少し赤くなる。フェイスカラ―は塗らなくても良かったかも、と思いながら時計を見るとそろそろ待ち合わせの時間。待たせると大変!お気に入りのパンプスを履いていざデートへ!臨也くん時間にうるさいんだから!



「臨也くんっ!お待たせっ!」



「大丈夫。時間ぴったりだよ。」



走って乱れた髪を直していると臨也くんに髪を撫でられた。お洒落してきたこと、気付いてくれるかな?この服やっぱり変だったかな?メイク濃かったかな?髪型おかしくなってないかな?ドキドキ、ドキドキ。髪を弄り続けている臨也くんの顔を見上げるとぱっちり目が合った。



「ちゃんとお洒落してきてくれたんだね。」



「…変?」



「まさか。とっても可愛いよ。襲いたくなる。」



「襲っ…!?」



「今はまだ我慢しておくよ。今日はデートするって約束だったからね。」



そろそろ行こうか、と私の手を握って臨也くんは歩き始める。可愛いという褒め言葉よりもその後の言葉にクラリと眩暈。だって耳元で私にしか聞こえないくらい小さい声で言うんだから。ドキドキしていた心臓はもはやバクバク鳴っている。斜め前を歩く臨也くんはクスクス笑っていた。こんなやりとりを幾度も繰り返した気がするけど、私はその度に顔を赤くするし、臨也くんは飽きることもなく私のそんな顔が好きだと言っていた。恥ずかしいから言わないでっていつも言うけど、本当は別にいいの。だって私も臨也くんのクスクス笑う、普段は見られないその顔が好きだから。斜め前にいた臨也くんに追いついて、それからは隣を歩いた。







レストランのディナーはとっても美味しかった。おまけにお店の内装も素敵で、きっと臨也くんが私好みの場所を選んでくれたんだろうなと思う。臨也くんと他愛もない話に花を咲かせ、静かに流れるクラシックのBGMを聞きながら、私は幸せな気持ちで心が満たされていくのを感じていた。シャンパンを少しだけ飲んで、窓の外を見ると夜景がまるでスパンコールのようにきらきらと瞬いていた。うっとりと夜景を見ていると、自然とため息が漏れた。



「どうかした?ため息なんかついて。」



「あ…ごめんなさい。私、幸せすぎだなぁと思ったら、つい。」



臨也くんと付き合い始めてから、私は何度こんなこと思ったんだろう。数えきれない。臨也くんは私の嬉しいと思うことを全部知ってるんじゃないのかな、と錯覚してしまいそうだ。私も臨也くんに、私と同じくらい幸せな気持ちになって欲しいと思うけど、それは上手く伝わっているのかな。わからないけど、臨也くんがずっと一緒にいてくれるから、少しは気持ちが伝わっていると信じたい。



「臨也くんありがとう。久しぶりにデートできただけでも幸せなのに、こんな素敵なところに連れてきてくれて。本当、ありがとう。」







「……もっと幸せにしてあげようか。」



う、そ…。


ポロポロ、ポロポロと涙が零れていく。涙が頬を伝って、ワンピースに落ちていく。嘘。嘘。信じられない。


臨也くんの手の中の箱には指輪が光っていた。



「名前を幸せにするって約束するし、俺は君とじゃなきゃ幸せになりたくない。だから、」



「苗字名前さん。俺と結婚してください。」




嬉しすぎて死んでしまいそう。何度も縦に首を振った。私も、臨也くんと幸せになりたい。これからも、ずっと臨也くんと生きていきたい。顔を覆っていた両手が臨也くんの手に優しく包まれた。せっかくのメイクした顔が台無しだよ?でも、襲いたくなるくらいすごく綺麗だ、と臨也くんは笑う。その笑顔は、私が今まで見た中で1番幸せそうだと思った。


折原臨也さん。私もあなたと幸せになりたいです。







『怪獣とくちびる』様へ。

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