「………銀ちゃん」



あなたは、大切なものを失いました



ほんとに、大切なものです



「誰だ?」



「私だよ」



人間にとって、なくてはならないものです



それをあなたは



「あーおめぇか、ちょっと待てよ…」



「うん」



私をかばって失いました



なれない手付きで杖を使い、探り探りあなたは私を探す



ここだよ、と言えない
見つけてほしかったから




「ぅわっ…と」



攘夷志士による爆破テロ
私を助けようとして、銀ちゃんは視力を失った
爆風によるものだった



血まみれになっても銀ちゃんは、私を助けてくれた
自分の目を代償にして



視力が回復するのは、ほぼ無いに近い



「…なぁ」



銀ちゃんが私の目の前にきて、頬を撫でる
暖かい、生きてるって感じがする銀ちゃんの手



「泣いてんのか?」



「…っ」



ぽろぽろと流れ落ちる涙が頬をつたり、銀ちゃんの手を濡らす
夕日に少し照らされてキラリと光る
そんな美しさも、もう見ることが出来ない銀ちゃんがただ悔しくて、悲しくて




「泣くなよー銀さんも悲しくなっちゃうでしょー」



「だって銀ちゃ、ん…もう見えな…」



私のことも江戸の街も皆の顔も、全部全部見えなくしたのは私がしたのも同然



銀ちゃんの目は白い髪と同化する包帯でまかれていて



痛々しくて、涙が止まらない。止まってくれない



「馬鹿かてめぇは」



「…なに、が」



「銀さんは別に視力なんてなくてもいーの」



ぎゅ…と私を抱き締めて、耳元で囁く
嗚呼反則だ、その攻撃は



「俺は視力を失うより、仲間やおめーが失うこと方が十分怖ぇよ」



震える声、私の泣き声



「視力が失っても俺がお前を護るから」



だから、笑っていろよ



甘く切ないキスを落として私に微笑んだ








バイバイ流星の涙






Thanks.皐月桜さま