なんとなく、ただなんとなく。
川沿いの道を一人で歩いていた…

はずだった。



気がついたら、あの沖田総悟が何食わぬ顔で隣を歩いていたのだ。
これは可笑しい。


「沖田さん、何で隣を歩いてるんですか?」

「いけやせんかィ?」

「いや、そんなことはないですけど…」

「ならいいじゃありやせんか」

「そうじゃなくて…」


ダメだ、この人に適うはずがない。
別に隣を歩いているからといって何かあるわけでもないので、気にしないことに
した。



「…ところで沖田さんは何をしてるんですか?」

聞く順序を間違えた気がするが、この際どうでもいいことだと思う。


「アンタこそ、こんな所で何してるんでさァ」

これもまた、今更な質問だ。


「何って…。んー、何ですかね?」

「何言ってんだィ、アンタは。そんなに楽しそうな顔して、何処に行くんでさァ



そう言って沖田さんはこっちを見た。

…え?楽しそうな顔?


「私、端から見たらそんな顔してるんですか?」

「は?」

「何にもないんですよ。
ただ、良いお天気だったから散歩していただけで…」


そう、私はなんとなく散歩をしていただけなのだ。
真面目にそう答えると、沖田さんはプッと吹き出すように笑った。


「そうだったんですかィ」

「そうですよ」

「アンタ、馬鹿だねィ」

「なっ!」



それでも隣の彼は優しく笑うから、つられて私も笑ったんだ。





月に蹴り、太陽にアッパー


(オイ、太陽!沈むんじゃねーぞ)





Thanks.そらさま