太陽は嫌い。夜兎の命を奪っていくから。雲が見たい。虹が見たい。けれど、空には太陽がいる。だから太陽は嫌い。
「虹って知ってます団長?」
「んー知らないヨ」
「雨上がりに見えるんだそうです!とっても綺麗って本に書いてありました」
「へー」
「…聞いてます?私ね、死ぬ直前には虹を見て死にたいんです、最悪雲を見ながらでも」
「……」
「団長?」
神威団長は何も言わずにどこかへ行ってしまった。心なしか笑っていなかったような、気のせいかな。

次の星では単独行動で天人を壊滅させる方向となった。その旨を言うと団長はさっさと行ってしまったので他の人達も四方八方に駆けていった。
気候が変わりやすい星らしい。降りたときは晴れだったのに既に湿った空気に変わっている。
「うわー雨降っちゃった、…あ、敵。よっ、と」
一振りで数人が倒れていく。敵の数は三十人程だけど、思ったよりもここの天人はしぶとい。雨のせいで体力の減りも早くなる。集中力切れてきたなぁ、と気を抜いた一瞬、
「…!!った……っのやろ、」
ドン!という轟音とともに周りの天人は倒れた。腹部に激痛を残して。
(…った…コレ、無理かも)
周りの天人は居なくなった。立つ力も無くなって、パシャッという水が弾けた音とともに仰向けに倒れこんだ。
ふいに、雲間から光が射した。
(ホント…変わりやすい天気だなぁ)
パキパキという音が聞こえはじめて、死を悟った時、空にうっすらと七色の弧が見えた。
「……あ、ぁ…」
に、じ?アレが?…よかった、日頃の行いのお陰かな…殺してばかりだったけど。最期に、良いもの見れた。
「…すいませ…団長…」
先に、いきます。
「何死のうとしてんの」
眩しい光が遮られて、体がふわりと宙に浮いた。背中と太股のあたりに温かみを感じる。
「…だ、んちょ…?」
「太陽や虹になんかお前をやらないよ、隣が寂しくなるからネ」
「…あは、だんちょが優しい」
「殺しちゃうぞ」



これは僕、あれは虹
(さっき不機嫌そうだったのは拗ねてたから?)(うるさいヨ)





Thanks.りとわさま