攘夷戦争が終わっても、みんな進むべき道が違っても、わたしたちはどこまでも
一緒なんだって思ってた。ずっと変わらないって信じてた。いつだって輝き続け
る星みたいに。


「銀ちゃん銀ちゃん」

「あー?」

「寒い」

「このクソ寒い夜中に肉まん食べたいって言い出したのは誰ですかー」

「違いますぅ肉まんじゃなくてピザまんですぅ」

「黙れクソガキ。ピザまん叩きつけてケチャップまみれにしてやろうか。チーズ
もトッピングしてやろうかコラ」


わたしは銀ちゃんと一緒に歩いている。銀ちゃんの進む道は自前の天パみたいに
フワッフワしてておぼつかないときもあるけど、銀ちゃんは自分の武士道をしっ
かりと歩んでいるんだろう。そんな銀ちゃんが好きだから、わたしは銀ちゃんの
隣を歩いているのだ。


「銀ちゃん銀ちゃん」

「あー?」

「星が綺麗だね」

「あー…今日はよく晴れてっからな」


失って知ったのは、大切なものの重み。傷ついて知ったのは、大切なものを護る
難しさ。ぜんぶ知ったわたしたちは、大切なものを護っていこうと毎日もがいて
いる。この夜空いっぱいの星みたいに当たり前にそこにあるものでも、ある日突
然失ってしまうのだ。


「銀ちゃん銀ちゃん」

「あー?」

「みんなも、見てるかなあ」

「…さあな」


きっと、みんなと一緒にこの星空を見ることは二度とない。ちゃんとわかってる
つもりなのに認めたくない自分がいて、それが時々わたしを苦しめる。それでも
今こうして銀ちゃんの隣にいれることが幸せで、うっかり泣いてしまいそうにな
るのだ。
だから今このときを、一瞬一瞬を大切にしていこう。そんなことを思いながら、
わたしは銀ちゃんと一緒に江戸の夜空をいつまでも眺めていた。




ゴミみたいな星たち

(醜くて、汚くて)

(でもどうしょうもなく美しくて)






Thanks.えつこさま