#2

今、俺が教室の隅の席から眺めているこのクラスの連中。
こいつらだって、ヒエラルキーで振り分けていったらかなり細分化される。

例えば、相川を中心にした3人少数構成のがり勉組。来年は進学クラスに進むらしいこいつらは休み時間のほとんどを問題集に費やしている。
「おい、次の模試の対策問題どこまで進んだ?」
「もう英語は終わってる。そっちは?」
カッターシャツのボタンを上まできっちり留めて、授業前の準備、委員会への積極参加等々・・・推薦を勝ち取るための教師への点稼ぎにも余念がない。今日も今日とて授業が終わった途端に我先にと図書室に一直線。

最近地位をぐっと上げたのが、正田、遠藤を中心とした野球部5人。ダサい・臭い・バカの三重苦だったこいつらが、今年の夏の甲子園、何の間違いが起きたのか、準々決勝まで勝ち進んだせいで今じゃ練習を見に来るファンまでいるらしい。日々を追うごと調子に乗ってきているのが全くもって目ざわり。今も教室の一番前の席に陣取ってバカ笑いしてる。
「え〜それ、正田、マジで言ってんのぉ?」
「え?何、みかちゃん、もしかして疑ってる?ひでぇ、まじだって。」
前まで相手にもされてなかった派手系女子にしゃべりかけられてつまんねえ事をベラベラベラ。

そして、その野球部を今まさに教室の対角線上から睨みつけているのがバスケ部とサッカー部混合の8人。特にバスケ部キャプテンの篠宮は、遠藤の陰口を言わせたら留まることを知らない。噂によると最近他校の彼女を遠藤に寝とられたらしい。一度、学校に連れてきたことがあるけれど、化粧がやたら濃くて型崩れした汚いローファーにぞっとしたのを覚えている。そんな女を取り合うなんて、傍から見りゃどっちも救い難いバカ。


「次の授業だるいなあ。サボりてえ〜」
「けど、次サコ先だろ?あいつ絶対あとで呼び出しかけるくね?」
「それ逆にだるいなあ」
どこのクラスでも、大多数を占めるのが可もなく不可もない平均層。
「それよか、昨日のMステのA●B見た?パンチラしまくっててさあ。」
休み時間になると教室の前の廊下にたむろって昨日見たテレビ番組や今ハマってるアイドルの話をしたり、会話まで平均を抜け出さない糞つまんない奴ら。小説の主人公には成りえない。うすい鉛筆で描かれた背景。もしこの世界がドラマだとしたら、こいつらの名前はきっと「クラスメイトA」「B」、そして「C」だ。

この世界がもし全部作りものだったなら。

俺が今いる学校も、女のことしか能がない奴らも全部がフィクションだったとしたら、

どんなに。
どんなにか・・・


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