#2



思い出すと気が滅入る。穴があるなら入ってしまいたい。

毎日貴城にメールして毎日のように貴城の教室にその姿を探しに行った。
周りから見れば丸分かりだったろう。
けれど貴城は壊滅的に鈍かった。
貴城に会いに来ても貴城は「よ〜元気?じゃあな。」とサッカーボールを抱えてまるで風みたくさっと俺の横を過ぎていく。メールしても一言二言返ってくればいい方。ほとんど返信は無かった。

それでも好きだった。
たまに見せてくれる笑顔も、サッカーボールを追いかけ楽しそうに飛び跳ねる貴城も大好きだった。

メールを送ることを止めても、俺は貴城を好きなままだった。でも今となっては言えるわけもない。だって貴城は俺のことをただの友人どころか顔見知り程度にしか思っていないし、貴城が好きだというアイドルはちっちゃくて童顔で乳だけがやたらでかい、見るからに頭の悪そうな女だった。一方の俺はいつの間にか貴城の背を追い越し、二年から始めたバスケと元々やっていた合気道の相乗効果だろうか、そこらのスポーツ選手よりも筋肉が発達しすぎている。その上、俺はT大確実と模試に判定が出るほど頭が良すぎる。頭の悪い女が好きなのに、頭が良い筋肉男が守備範囲なわけがない。

全くの正反対だ。
駄目駄目だ。
それなら片思いのまま心の奥の箱に無理やり詰めておこう。

そう自分に言い聞かせ納得したつもりだったのに。



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